民医連事業所のある風景 福岡/千鳥橋病院 安心して暮らせる支援を…
公益社団法人福岡医療団は1963年に設立され、千鳥橋病院は1968年福岡市博多区千代地域にベッド数52床の病院として建設されました。その後、増床と病棟再編を繰り返し、現在では336床の急性期を担うDPC病院です。
千鳥橋病院のすぐ近くには「黒田官兵衛」の子で筑前黒田藩初代の黒田長政の菩提寺、崇福寺があります。また、博多の夏の代表的な祭りである博多祇園山笠は、750年以上の歴史を持ち、期間中には勇壮な追い山が千鳥橋病院の前の市道を走りぬけます。
日本で最初のHPH認定病院
千鳥橋病院は、2008年には日本で最初のHPH認定病院となりました。2015年10月からはWHO「日本HPHネットワーク」の事務局を担っています。
法人内には、慢性期医療を担うたたらリハビリテーション病院や、門前診である千代診療所をはじめとして福岡市内やその近郊の粕屋地域、筑豊地域に10カ所の医科診療所と歯科診療所、8カ所の訪問看護ステーションがあります。千鳥橋病院は、急性期病院としてこれらの事業所と連携し、患者が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるように支援を行っています。
研修医が1人で悩むことのないように
千鳥橋病院には、2015年度、初期研修医が7人、後期研修医が13人在籍しています。臨床研修制度発足以前から長年にわたり研修医指導を行ってきました。多くの科でチームの指導体制をとっており、研修医が1人で悩むことがないように、常に指導医からの管理、バックアップを受けることができるように配慮しています。
2011年には卒後臨床研修評価を受審し、初回受審で6年間の認定を受けることができました。「地域に密着した良い研修がなされています。研修医一人ひとりがいきいきと研修し、満足度も非常に高く、よい研修が行われています」との評価を受けています。
7年目を迎えた公園での医療支援
毎月第1金曜日の夜、福岡市の繁華街、中洲のすぐそばの公園で行っている医療支援は、今年で7年目を迎え、80回を超えました。始まりは「ホームレスの方の多くは、ひどく悪化した状態で来院される。そうなる前に何かできることはないか」という論議からでした。
炊き出しを行う「NPO法人福岡おにぎりの会」の隣で医師、歯科医師、看護師、SWなどさまざまな職種とともに、医学生、看護学生も参加し行います。社会問題について学ぶ場、関わる多くの方との出会いの場ともなっています。「普段は目をそむけたくなるような社会の一面を肌で感じる貴重な体験になる。社会的弱者と呼ばれる人が、どのような生活を送り、何を考えているのか支援活動を通して見えてくるものがあった」との感想が寄せられました。
このつながりで入職に至った職員もあり、支援にとどまらず職員育成などに広がりを見せる活動となっています。
(千鳥橋病院 事務長 鶴内 由紀子)