Dr.小池の世直し奮戦記 消費税増税に道理なし まるで詐欺の「軽減税率」
政府は、二〇一七年四月に消費税を一〇%に増税しようとしています。その際に導入されようとしているのが「軽減税率」です。自民党と公明党が、酒類と外食を除く食料品の税率を八%に据え置くことで合意し、マスメディアも大宣伝しました。
しかし、いったいこれのどこが“軽減”なのでしょうか。
「社会保障対策」やめ財源に
「軽減税率」というと、税金が軽くなるかのように聞こえます。しかし、対象となる食料品の税率は八%のままですから、軽くなるわけではありません。「軽減税率」ではなく、「据え置き税率」と呼ぶのが正確です。
しかも、税率を据え置くための財源として、政府が「低所得者対策」と宣伝してきた「総合合算制度」の導入を見送ろうとしています。これは、医療・介護・子育て・障害の自己負担に上限を設ける制度で、三年前に消費税増税を議論した時には、社会保障充実の“目玉”として宣伝されていたものです。
“軽減”といいながら負担は軽くならないうえ、社会保障の低所得者対策はやめてしまう。これでは“軽減詐欺”だと言われても仕方がありません。
もしも本気で庶民の暮らしを心配するなら、増税をやめればいいではありませんか。
4兆円を超える大増税
そもそも消費税が一〇%になれば、いくら「軽減税率」を導入しても、四兆円を超える大増税になります。一般的なサラリーマン家庭でみると、年間増税額は四万円を超えます。
消費税を八%に増税してから、日本経済の低迷は深刻です。これをさらに一〇%にまで引き上げれば、暮らしも日本経済も壊滅してしまいます。そうなれば、社会保障のための財源も生まれませんし、財政再建など、ますます遠のいてしまうでしょう。
崩れた消費税増税の根拠
政府は消費税導入の目的を「社会保障のため」と言っていたのに、医療や介護、年金も生活保護も改悪の連続です。「年金を下げて、消費税を上げる」なんて、江戸時代の悪代官も青ざめるようなひどいやり方です。
二〇一六年度予算では、軍事費が五兆円を突破しようとしています。アメリカ軍に対する「思いやり予算」も増額です。戦争法を強行して、日本を「戦争ができる国」としたあげくの消費税増税。これではまるで“戦争税”です。
そのうえ、史上空前の利益をあげる大企業には、法人税を二〇%台まで減税しようというのです。“逆立ち政治”もいいところです。
そもそも税金とは、大金持ちや儲かっている企業から集めて、暮らしや福祉に回すためのものです。それが今では、生活費にあえぐ庶民や中小企業からかき集めて、富裕層や大企業の減税に回しています。まるで“泥棒”ではありませんか。
安倍自公政権が進める消費税増税には、ひとかけらの道理もありません。消費税一〇%の増税は、きっぱり中止せよ! その声をごいっしょにあげましょう。
いつでも元気 2016.2 No.292