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ニュース・プレスリリース

Dr.小池の世直し奮戦記 安倍政権、もう一つの「暴走」 ─社会保障の切り捨て路線

 「海外で戦争する国」への暴走を続ける安倍政権は、医療や介護など、社会保障予算の削減にも突きすすんでいます。
 六月三〇日に閣議決定された財政・経済政策の基本方針「骨太の方針2015」は、今後の社会保障費の伸びを毎年五〇〇〇億円に抑制する方針を明記しました。
 高齢化などにともなう社会保障費の「自然増」は、毎年八〇〇〇億円から一兆円と言われており、削減幅は三〇〇〇?五〇〇〇億円にものぼります。毎年二二〇〇億円の削減で、「医療崩壊」と「介護難民」を招いた小泉内閣と同じ路線を復活させ、拡大するものにほかなりません。

「小泉改革」と“うりふたつ”

 国会で安倍晋三首相や塩崎恭久厚生労働大臣に問いただすと、「小泉改革とは違う」と弁解します。しかし、小泉内閣が社会保障削減路線を敷いた「骨太の方針2006」(以下、骨太)でも、露骨に二二〇〇億円を削減するとは書いていません。
 「骨太2006」には「過去五年間の改革(一・一兆円の伸びの抑制)を踏まえ、今後五年間においても改革の努力を継続する」と書いてあります。
 一方、「骨太2015」はどうでしょう。「安倍内閣のこれまで三年間の…社会保障関係費の実質的な増加が、高齢化による増加分に相当する伸び(一・五兆円程度)となっていること…を踏まえ、その基調を二〇一八年度まで継続していく」。
 「2006」と「2015」は書きぶりも発想もまったく同じなのです。

「機械的に切り捨てない」?

 安倍首相は、小泉政権時代と違って“機械的に切り捨てない”と言いますが、「骨太2006」でも「機械的に歳出を一律に削減するという手法ではない」としていたのです。しかし現実には、社会保障費の削減額を機械的に決めました。
 違いがあるとすれば、小泉内閣が「痛みに耐えてがんばれ」と、ある意味で“正直”だったのに対し、安倍内閣は「高齢化による増加分」は認めるといって、できるだけ小さく見せようと姑息な態度であることです。
 しかし、「高齢化による増加分」と「その他の要因による増加分」を分けるという議論には、厚労省が異論を唱えました。六月一〇日の経済財政諮問会議に、厚労大臣は次のような文書を提出しています。
 「社会保障制度の健全な運営を維持していくためには、経済成長にともなう物価、賃金の上昇や技術革新への対応、障害者関係費等の高齢化以外の伸びに相当する分の確保が不可欠」「『高齢化による伸び相当の範囲内』という水準ありきの基準を定める場合、これらの不可欠な伸びは一切考慮されず、その確保のために、高齢化による増加分を機械的に削減しなければならなくなる」─。まさに正論です。
 しかし、「骨太2015」では「水準ありきの基準」が定められてしまいました。しかも、後期高齢者の窓口負担引き上げ、介護保険利用料負担の見直し、軽度者の生活援助の保険給付外しなどが「検討課題」として並んでいます。これらはまぎれもなく「高齢化による伸び」そのものに切り込むものです。
 社会保障を手当たり次第に削減する安倍内閣。「戦争する国」は、「国民の命を切り捨てる国」でもあります。断じて認めることはできません。

いつでも元気 2015.09 No.287