Dr.小池の世直し奮戦記 「戦争立法」は許さない
いつでも・どこでも・どんな戦争にも
政府は、昨年七月の「集団的自衛権行使を容認する閣議決定」にもとづく法案を、五月中旬の国会に提出しようとねらっています。
法案作成に向けて、自民党と公明党が合意した文書を見ると、いつでも・どこでも・どんな戦争にも、自衛隊が戦争に出ていける「戦争立法」にほかならないことがわかります。
自衛隊員が「殺し・殺される」
ひとつは、米国の戦争への「後方支援」が歯止めなく拡大されようとしていることです。
これまでは、自衛隊をいくら海外に派兵しても、「戦闘地域にはいかない」という建前がありました。ところがこの「歯止め」をなくし、従来「戦闘地域」と呼ばれていた場所にまで自衛隊が行き、軍事支援をすることができるようになっています。もしそこで実際の戦闘が始まれば「休止する」と言いますが、他国軍兵士などの「捜索・救助」については戦闘中でも続けるとしています。
私は昨年七月に国会で「戦闘地域にまで行けば、相手から攻撃されることもあるだろう。その場合にはどうするのか」と安倍晋三首相に質問しました。すると首相は、「その場合は武器を使用する」と答えたのです。
しかも「国連が統括しない人道復興支援活動や安全確保活動等」にも参加し、任務遂行のための武器使用も可能にすることが検討されています。三五〇〇人近くの犠牲を出したアフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)や、四八〇〇人を超える犠牲を出したイラク多国籍軍のようなケースにも、「治安維持活動」として自衛隊を派兵する道が開かれることになります。
自衛隊員が他国の人を殺す、あるいは自衛隊員の「戦死者」を出す。そんなことが現実となることを、絶対に許すわけにはいきません。
米国の先制攻撃にも参戦
もう一つは、集団的自衛権の行使による戦争への直接参加です。日本が攻撃されていなくても、日本と「密接な関係のある他国」が攻撃された場合、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」と判断すれば、武力を行使することになります。日本に対する武力攻撃がなくても、武力の行使=集団的自衛権を行使するという「閣議決定」の内容が法制化されようとしているのです。
しかし「根底から覆される危険」かどうかを判断するのは時の政権ですから、どういう場合に集団的自衛権を発動するのかは、事実上無制限になってしまいます。
安倍首相は、日本共産党の志位和夫委員長の質問への答弁で、米国が先制攻撃をおこなった場合の集団的自衛権発動を否定しませんでした。
米国が起こすあらゆる戦争に自衛隊が参戦・支援する「戦争立法」──これがいますすめられていることの正体です。
歴代自民党政府も「現行憲法の下ではできない」と言ってきたことをやろうというのですから、明らかな違憲立法です。法案化作業の中止を強く求めます。
いつでも元気 2015.05 No.283