介護報酬引き下げは許せない ─安心できる制度への改革こそ
報酬削減は介護に深刻な打撃
三年に一度の改定で、来年度からの介護報酬(介護保険のサービス公定価格)引き下げがねらわれています。引き下げ幅はマイナス二・二七%で、引き下げ額は過去最大規模です。
削減内容は、今後具体化されていきますが、すでに特別養護老人ホームやデイサービスの基本報酬引き下げなどが提案されています。これが実施されると、現在でも約三割が赤字という介護事業所の経営を直撃することは必至です。
このままでは「介護崩壊」に
厚労省は、今回の改定に盛り込む予定の「処遇改善加算」によって賃上げが実現できると説明していますが、直接介護にあたらない職員(たとえば事務職員や理学療法士など)は対象外ですし、報酬全体を引き下げれば、「労働条件改善」など絵に描いた餅になってしまいます。
現在でも、消費税を八%に増税したことなどによる物価上昇が、介護事業所の経営を直撃しています。本来なら介護報酬は「引き上げ」るべきです。
厚労省も、このままでは団塊の世代が七五歳を迎える二〇二五年度には、介護職員が約三〇万人も不足すると推計しています。その背景には介護労働者の低賃金があります。
介護労働者の平均月収は、全産業平均の三分の二という水準で、労働条件が人材不足の最大の原因になっていることは、明らかです。介護報酬の削減を強行すれば、労働条件がさらに悪化し、介護現場の人手不足を加速させることは必至です。利用者に対するサービス内容の切り下げにも直結します。
介護報酬の削減は、利用者・国民にとっても、「介護崩壊」をもたらすものにほかなりません。
介護制度に求められるものは
特養ホームの待機者が全国で五二万人を超え、介護の負担を理由に離職する現役世代が毎年一〇万人にのぼるなど、世代を超えた「介護の危機」は深刻です。こんなときに、介護報酬を大幅に削減するなんて、政府の重大な責任放棄だと言わざるを得ません。
一方で、来年度には介護保険料の一〇%アップが予定されています。
いま政府がやるべきことは、適切な介護報酬に引き上げるとともに、介護保険財政に対する国庫負担割合(現行は約二五%)を引き上げて、介護保険料の引き下げ、低所得者の利用料減免など、利用者・国民の負担の軽減をはかることです。これらは介護関係者はもとより、地方自治体からも、強く求められていることです。
介護報酬削減には、介護事業者・労働者・利用者をはじめ、幅広い方々から危惧と反対の声がわき起こっています。“選挙が終われば、さっそく社会保障の削減??これが安倍内閣のやり方か”という批判も当然です。
政府は、介護現場や利用者・国民の切実な声に耳を傾け、介護報酬削減を撤回すべきです。私も国会で、徹底的に追及していきます。
いつでも元気 2015.03 No.281