Dr.小池の世直し奮戦記/2015年は医療制度大改悪とたたかう年に
二〇一五年の通常国会では、医療制度の大改悪が、重要なテーマになりそうです。
「後期高齢者」保険料、大幅アップ
医療・介護制度の充実、いのち守る政治を求める集会。2014年10月23日、都内で |
後期高齢者医療制度について、政府は保険料の「特例軽減」を中止し、対象者となっていた高齢者の保険料を二倍~最大一〇倍にまで引き上げようとしています。
後期高齢者医療制度では低所得者に対して、「九割」「八・五割」などの保険料軽減がおこなわれています。こうした軽減措置を受けている人は、およそ八八 〇万人。後期高齢者医療制度の加入者は一六〇〇万人ですから、半分以上です。七五歳以上の高齢者に、どれほど低所得・低年金の方が多いかを示すものと言え るでしょう。
政府はこの「特例軽減」は、「後期高齢者医療制度導入時の“激変緩和”」で「制度が定着したから打ち切ってもいい」のだと主張しています。しかし、同制 度が始まった二〇〇八年よりも、高齢者の生活実態は悪化しています。基礎年金の満額支給額は当時月六万六〇〇〇円でしたが、それが今では月六万四四〇〇円 にまで減らされた上、消費税増税やアベノミクスによる物価上昇でさらに目減りしているからです。年金削減や物価上昇に苦しむ低年金者にこんな負担増を浴び せれば、「高齢者の貧困」がいっそう深刻化してしまいます。
後期高齢者医療制度が導入されたとき、当時の厚労省の課長補佐が「保険料が際限なく上がっていく痛みを、高齢者に感じてもらう」と講演して大問題となり ました。その意図を多くの国民が見破ったからこそ、列島騒然の怒りの世論がわき起こり、保険料の軽減措置をとらざるをえなくなったのです。これをやめるこ とはまさに“保険料が上がり続ける「痛み」を高齢者に実感させる”ことにほかなりません。
「世代間の公平」というご都合主義
厚労省は、高齢者の負担増について「世代間の公平性のため」とも言います。しかし、その一方で検討されている入院給食費の負担増の理由は、まったくさかさまです。
一般病床・精神病床・六五歳未満の療養病床の入院患者が負担している食費「一食二六〇円」を見直すといいますが、これは“現役世代の負担額が「一食四六 〇円」の高齢者(療養病床)より安いから引き上げる”というのが、その理由です。
「世代間の公平のため」だと高齢者の保険料を引き上げ、かたや現役世代の入院給食費は高齢者より低いから引き上げる。要は、“高い方にあわせて負担させよう”というだけの“ご都合主義”です。
社会保障の切り捨て許さずに
検討されている医療費の負担増は、この二つにとどまりません。紹介状がない人が大病院を受診し たときの負担増、高齢者の窓口負担引き上げ、協会けんぽ(中小企業に勤めるサラリーマン向けの健康保険)の保険料の引き上げ、国保料の負担上限引き上げ、 国保料のさらなる引き上げにつながる「市町村国保の都道府県単位化」と「国保組合への定率国庫補助廃止」などなど…。
自民党は、こうした国民の医療費負担増について、総選挙でもまともに説明しませんでした。これで「国民の信任を得た」などと言って強行することは許され ません。二〇一五年、社会保障切り捨ての暴走を許さない世論と運動を大きく広げましょう。
いつでも元気 2015.01 No.279