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ニュース・プレスリリース

Dr.小池の世直し奮戦記/安心できる介護制度の実現へ/──改悪を押しもどすたたかいを

 介護保険の大改悪が進められようとしています。最大の問題は、要支援者への訪問介護(ホームヘルプ)・通所介護(デイサービス)を保険給付からはずし、市町村の「地域支援事業」に変えてしまうことです。

地方から「実施不可能」の声

 政府はこれで「適切なサービスが維持される」と説明しています。しかし、現行制度なら五~六%の伸びで推移していく給付費を、今後は三~四%の伸びに抑 えこむため、総予算の圧縮、サービス単価・人件費の切り下げなどを想定しています。給付費の削減目標を公然とかかげながら、サービスを維持・改善するかの ように説明するのは、国民をあざむくものです。
 各地の自治体当局からも、次々と懸念の声が上がっています。中央社会保障推進協議会のアンケートに回答した五一五自治体のうち、三割以上が、新事業への 対応は「不可能」と回答。全国二一〇の地方議会で、法案に異議を唱える意見書が採択され、そこには「市町村に受け皿はなく、サービスに地域格差が生じる」 「介護の社会化に逆行する」などの声があふれています。

特養入所を「要介護3」以上に

 特別養護老人ホームの待機者は現在五二万人。うち一七万八〇〇〇人は「要介護1・2」ですが、この方々の入所の道が閉ざされようとしています。
 この間、特養待機者が激増している根本的な原因は、高齢者の貧困の拡大です。厚労省の調査でも、年金受給者の四八%は年額一〇〇万円以下の低年金者。こ うした方々が要介護状態となったとき、費用の心配なく入居できる施設は特養しかありません。ところが政府は特養の整備・増設を抑制し、有料老人ホームや サービス付き高齢者住宅など、低所得者が利用できない施設の整備ばかり推進してきました。
 特養入所を「要介護3以上」に限定すれば、大量の高齢者が、今度は「待機者」にもなれないまま放置されることになってしまいます。こんな改悪はただちにやめ、特養の抜本的増設へ、国が舵を切るべきです。

利用料の2割負担の導入

 さらに、在宅でも施設でも、利用料の大幅な負担増がねらわれています。
 政府が検討する二割負担導入のラインは、高齢者全体の二割に及び、とても「高額所得者」と呼べる方々ばかりではありません。
 要介護の高齢者は、定率の利用料のほかにも医療費の窓口負担やショートステイの食費など、さまざまな自己負担を強いられています。年金削減も高齢者を直 撃しています。介護利用料の負担増は、サービス利用を抑制し、重症化をもたらし、さらなる介護保険財政悪化を招くことになりかねません。

「介護離職」のない国を

 総務省の調査でも、介護を理由とした離職は年間一〇万人。いまや介護は、現役世代の深刻な不安ともなっています。
 介護制度は、公的保障を充実してこそ家族の介護負担を解消し、現役世代の就労・社会参加を促進できます。介護労働者の処遇改善や介護施設の増設は、国民 の所得を増やし、関連産業の需要を誘発して、地域経済に好循環をもたらすものでもあります。
 「介護離職」など起こらない国を。公的介護のサービス切り捨てでなく充実へ。政治の転換が必要です。

いつでも元気 2014.7 No.273