第36期第3回評議員会特別決議
総選挙で国民に痛みを押しつける悪政にストップを!
小泉内閣は8月8日、郵政民営化法案が参議院本会議で否決されたことを受け、衆議院を解散、8月30日公示、9月11日投票で総選挙がおこなわれます。
民営化法案は、国民が望んだものではありません。340兆円の郵便貯金・簡易保険を日米金融業界に差し出し、庶民にとって身近な金融窓口でもある郵便局の 減少にもつながるという内容です。この本質が明らかとなり、国民の不安と怒りが広がり、自民党内部の反乱も出るという事態の中での解散劇となりました。本 来は提案者である小泉内閣は総辞職し、首相は責任をとって退陣すべき事態でした。
小泉内閣の4年間、「改革」の名のもとに、医療・福祉・くらしへの「痛み」を押しつける悪政が続けられてきました。高齢者の医療費窓口負担1割・2割負 担、健保本人の3割負担、年金の大改悪、生活保護費や児童扶養手当の削減も進めてきました。「1年間で保護費の1ヶ月分が減り、朝は食パン1枚とコー ヒー、昼はほとんど食べなくて、夜は野菜が中心」(岡山市76歳女性)という厳しさです。先の国会では介護施設等での食費・居住費の全額自己負担化などの 介護保険改悪も強行しました。命綱を断ち切るような改悪の連続です。「医療費もあがったし、年金は減るし」「全額自己負担となる10月がくるのが恐ろし い」(石川79歳女性)など、高齢者や家族の不安や怒りが広がっています。
押し寄せるリストラの嵐、家計の所得は12兆円も減少、中小企業の経営者4000人など毎年の自殺者が3万人を超え続けています。一方で大企業は史上空前 の大もうけ、余剰資金が16.2兆円も積み上がっています。まさに「弱肉強食」の財界・大企業と結びついた小泉流政治がくらしを破壊しています。
憲法を無視して、自衛隊の海外派兵を行い、9条を中心に憲法「改正」を公然と政治の舞台に登場させたのも小泉内閣です。靖国神社参拝問題などアジア諸国 との友好関係を困難なものにしてきました。アメリカが引き起こす戦争に協力するなど、国際的にもアメリカの言うがままの異常な姿をさらけだしています。
さらに今回の解散劇で露呈したのは、そのファッショ的政治姿勢そのものです。
自分に反対する者は存在すら認めない姿勢、参議院で否決されたら衆議院を解散するなど憲政史上例のない、これまでの慣例や確立してきたルールも無視したや り方は、おおよそ民主主義とは無縁の政治手法です。
多くのマスコミの報道は、自民党の内部抗争や2大政党推進の論調に終始しています。世論調査では、「年金・医療・介護の充実」を求める声が一番多いとの 結果(毎日新聞)がある一方、過去の侵略戦争賛美の意見や、内部抗争にしらけて投票に行かないとの声も少なくないと言われています。
今回の異常な解散劇は、悪政にストップをかけるチャンスを私たちに与えたものでもあります。同時に、憲法問題や社会保障の解体、サラリーマン増税や消費 税増税で政策的差のない2大政党勢力を使って、憲法を変え、「アメリカの侵略戦争に協力できる、戦争する国づくり」「財界・大企業の利益を保証する政治」 「反対や異議を唱える民主主義の権利を大きく後退させる政治」に一気に突き進む危険性が大きく拡大しています。
無関心は、自らのくらしや医療・福祉の後退、平和や民主主義の破壊を招くことにつながります。
私たち民医連は、医療や福祉の充実を求めて、粘り強く奮闘してきました。憲法改悪に反対し、各事業所・職場での「9条の会」の取り組みも進めてきまし た。辺野古基地反対の行動、原水爆禁止を求める運動にも積極的に参加してきました。
これらの取り組みを前進させ、確実に成果を生み出していくために、今回の総選挙はとりわけ重要です。くらしや平和を破壊する政治にストップをかける代表 を国会に送るために、評議員会決定や民医連新聞(9月5日号)も活用し、すべての職員と共同組織の仲間が、大いに議論し学習し、多くの知人・友人に知ら せ、国民本位の政治の流れをつくりだすために奮闘しましょう。
2005年8月21日
全日本民主医療機関連合会
第36期第3回評議員会