石川/小松みなみ診療所 地域になくてはならない存在でありたい
地域の方々の努力でつくられて30年
小松みなみ診療所は、石川民医連の事業所のなかで最も南にある事 業所で、1985年4月に現在の地に開設されました。小松みなみ診療所のある小松市南部地域は、開設当時も医療機関が少なく、身近で安心して利用できる診 療所の開設を求める声が大きかったと聞きます。多くの地域の方々の努力でつくられた小松みなみ診療所も、間もなく30周年をむかえることになります。
現在行っている診療所の事業は、外来診療、通所介護、居宅介護支援(別の建物ですが)の3つです。
小松みなみ診療所の周りは、水田や麦畑などが広がり大変のどかです。天気のよい日には、待合室の窓から白山(2702m)や大日山(1368m)、富士 写ヶ岳(942m)などの美しい姿を眺めることができます。
近くには木場潟があり、公園として整備されジョギングやウオーキングなどをする人が多く見られます。また、カヌー競技が盛んで、木場潟では近くの高校や 中学校などのカヌー部が練習する姿も見ることができます。観光地としても有名で、粟津温泉(西暦700年ごろ開湯と言われている)や那谷寺、勧進帳で有名 な安宅の関跡などがあります。
戦闘機騒音による健康被害調査を実施
小松市には、自然や観光の顔とは違った別の顔があります。それ は、第一線の航空自衛隊基地と大企業コマツの城下町という顔です。航空自衛隊小松基地では、1975年からジェット戦闘機の爆音に対する訴訟がとりくま れ、現在は第5次・第6次の訴訟が行われています。基地から6キロ離れた診療所周辺でも、朝8時前から夜8時ごろまでジェット戦闘機のすさまじい爆音が聞 こえてくることがあります。
2011年、2012年には、石川民医連の医師や職員が参加して、ジェット戦闘機騒音による健康被害調査を実施しました。近くこの結果を裁判の証拠として提出することになっています。
地域の人たちとの結びつきのなかで…
経済の低迷で、温泉地の観光は大きな影響を受けています。廃業す る旅館もあって、粟津温泉の町中は日中ほとんど人通りがありません。温泉客を相手に商売を行っていた店もすっかり少なくなってしまいました。たまに無保険 の患者も受診に訪れます。温泉場は「吹きだまり」とよく言われますが、ここも同様です。2010年から、粟津温泉で小松みなみ診療所、共同組織、南加賀社 会保障推進協議会による「無料生活相談会」を始め、今年9月に6回目を実施しました。粟津温泉総湯を会場に健康チェックも定期的に行っています。
地域のひとたちとの結びつきのなかで今日までやってこられた感がある小松みなみ診療所です。これからも、この地域になくてはならない存在としてあり続けていきたいと考えています。
(小松みなみ診療所 事務長 柴原 和美)
「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2013年12月号.No.496より