京都/大宅診療所 守りたいのは平和と健康
大宅診療所のある山科区は、大石内蔵助が討ち入り前に隠れ住んでいたといわれ、赤尾義士にまつわる史跡の数々が今日まで伝えられています。京都市 の東端に位置し、滋賀県大津市と隣接した古くからの京の東の玄関口となっています。また清水焼、京扇子、京仏具などの伝統産業の生産団地があり、金属箔、 金属粉などの産業が発達し、伝統と最先端の技が調和している町でもあります。現在は高齢化が急速に進んできています。
安心してかかれる医療機関を
京都市内には数多くの民医連の事業所があります。東山連山のお隣にある山科区は3方を山々に囲まれて盆地になっています。この地にも安心してかかれる医療機関をつくりたいという地域や民主団体の願いが運動となり、1984年7月2日に大宅診療所が誕生しました。
2002年信和会に法人合同し、2005年12月7日にリニューアルオープンしました。
地域から信頼される診療所をめざして
山科健康友の会と力を合わせて地域医 療と介護活動、地域の健康づくりにとりくんでいます。医療と介護の複合診療所として、健康診断、予防接種、外来診療、訪問診療、訪問看護、デイケア、訪問 介護、居宅支援事業など多面的な活動を行っています。乳児から高齢者まですべての世代のかかりつけ医として気軽に相談できる診療所をめざしています。
外来診療をサポートする山科健康友の会ボランティアによる患者送迎は地域から大変喜ばれています。友の会会員で高齢者・介護の必要な方は、午前診療は毎 日、さらに夜間診療は週2回整形外科診療で自宅まで無料送迎を行っています。ボランティアの確保が課題ですが、かかりたくても、かかりにくい状況は身体的 問題に加えて、タクシー代など、通院にかかる費用の経済的問題も大きいと感じています。
在宅医療は約70件の支援をしています。住み慣れた自宅で最期を迎えたいという患者や家族の気持ちに応えていきたいと思います。がん末期やターミナルで は山科区にも民医連の訪問看護ステーションが必要となっています。自院の訪問看護師やヘルパーが一体となってサポートできるのが大宅診療所の持ち味となっ ています。自院で足りないところは、ほかの事業所と連携を密にしながら在宅医療を進めていきたいと思います。
診療所で学べること
当診療所は、山科健康友の会や、医 療、介護をよくしたいと願う団体や多くの人たちに事業を支えられ、また経営も支えられています。地域からは厳しい労働実態や生活実態から、いろいろな相談 が診療所に飛び込んできます。職員は知恵を出し合って援助します。そんな地域から頼られる診療所で職員は鍛えられています。
(大宅診療所 事務長 真辺 伝幸)
「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2012年10月号.No.482より