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ニュース・プレスリリース

Dr.小池の世直し奮戦記 安心して住み続けられる故郷を

 忘れることのできない二〇一一年三月一一日から、一年が過ぎようとしています。今も三三万人が避難生活を強いられ、行方不明の方は三〇〇〇人を超えます。
 仮設住宅の環境の劣悪さは深刻です。水道管の凍結で水が出ない。プレハブのため、暖房費が余計にかかって払えない。お風呂に追い焚き機能がなく、お湯が 冷めたらお湯を足したり、入れ直さなければならない。緊急ブザーや街灯の設置も急がれます。

「失業給付より安い仕事しかない」

 暮らし続けられるまちを再建するために必要なのが、仕事と雇用です。岩手県が沿岸部のハロー ワーク前でおこなったアンケートでは、職を求める人の八九・六%が「転居を伴わない現在の管内での勤務」を希望。男性では「正社員」希望が七四・三%に達 しています。「地元で働きたい」「安定した仕事に就きたい」というのが切実な願いです。しかし求人の大部分は建設・港湾関係の短期・低賃金の雇用で、「失 業給付よりも安く、一家の生活を支えられない」という悲鳴が上がっています。
 津波被害が深刻だった岩手県の陸前高田市では、営業をまだ再開していない業者が四〇・二%、大槌町では二八・二%がすでに「廃業」を決定(岩手県商工会 議所・商工会調査)。事業再開と雇用の継続を一体のものとした支援がどうしても必要です。

ダムよりも医療費を無料に

 原発災害が進行中の福島県では、次の課題を語る以前の段階にとどまっています。放射性物質の除染がまったく進まず、賠償面でも国や東電は、対象地域を制限したり、「自主避難者」を避難した時期によって線引きし、被災者を苦しめています。
 政府は福島原発事故の「収束宣言」を出しましたが、原子炉の状態や、核燃料がどこにあるのかもわからずに、原子炉周辺の温度が下がっただけで「収束」な どと言えるはずがありません。生死をさまよう大病なのに、まったく原因がわからないまま「熱が下がったから大丈夫」と医師に言われて安心する人がいるで しょうか。原発事故の幕引きをはかる動きは断じて許せません。
 「あれだけの苦しみをあたえたのだから、せめて一八歳以下の医療費は無料にして県民の不安にこたえたい」。これは県知事も含めた「オール福島」の願い。 しかし野田佳彦首相は、いったんは実施を口にしたものの、見送りました。
 地元紙「福島民報」の社説は、事業費三〇九五億円の整備新幹線や五六億円を予算化した八ッ場ダムの建設再開を批判。「毎年九十億円必要な十八歳以下の医 療費無料化が認められない一方で、公共事業に巨額の予算が配分されるのは納得できない」と予算の組み替えを要求。まったく同感です。

生存権守られる政治を被災地で

 私の学生時代の友人でもある岩手大学の横山英信教授は、「すべての復旧・復興策は、被災住民一 人一人の生存権を保障することに集約されるものでなければならない」と指摘し、「一人一人の生存権・主体性を軽視する発想は、『新自由主義的全体主義』と でも呼ぶべきもの」ときびしく批判しています(『復興の大義』農文協刊)。
 「安心して住み続けられる故郷を!」
 この切実で熱い願いにこたえ、被災地で憲法二五条の生存権が守られる社会を実現するため、力をあわせましょう。

いつでも元気 2012.3 No.245