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ニュース・プレスリリース

Dr.小池の世直し奮戦記 利用者の生きる希望 引き出す介護制度に

 介護保険が破たんに直面しています。
 来年度、介護保険料の大幅な値上げが計画されており、たとえば大阪市では六五歳以上の基準月額四七八〇円が六〇八一円へと二七%アップ。東京・足立区で も、四三八〇円が五六四〇円になるという試算が出ています。全国平均でも五〇〇〇円を超えることが予想され、「もはや限界だ」という声が聞かれます。

要介護度“軽い人”は利用料2割

 保険料だけではありません。いざというときに介護サービスが利用できなくなる改悪も検討されて います。今でさえ重い一割の利用料負担を、要介護度の“軽い人”については二割に引き上げようというのです。しかし利用料が重くなって払えず、介護サービ スが受けられなくなれば、体調も悪化し、ますます手厚い介護が必要になります。結局、介護保険財政を悪化させることにつながり、まさに悪循環です。
 しかもホームヘルパーがおこなう生活援助(調理、掃除、洗濯、買い物など)の提供時間(現行三〇分以上六〇分未満)を四五分未満に短縮しようとしています。これでは十分なサービスを提供できません。
 ホームヘルプサービスとは、利用する方の生活をまるごと支援する仕事です。利用者に寄り添い、願いや悩みを感じ取り、生きる勇気と希望を引き出して自立 を支援する、人間的な営みです。満足な会話をする時間すらつくれずに、追いたてられるように家事をおこなうだけでは、利用者を支えるという本来の役割を果 たすことができなくなってしまいます。

財源の問題を言うなら

 いまおこなうべきことは、介護保険のサービス削減や保険料の値上げではありません。介護保険財 政の約四分の一しかない国庫負担を引き上げて、保険料・利用料負担を軽減し、十分な介護サービスの提供と介護労働者の処遇改善を両立させる抜本改革です。 財源は負担能力に応じて、大金持ちや、ばく大な利益をためこんでいる大企業(資本金一〇億円以上の企業で、総額二六〇兆円の内部留保を抱える)に負担して もらってこそ、安定したものになります。
 野田佳彦首相は、昨年一二月四日、国民の血税を三億円も使って日本中の新聞に全面広告をのせました。この中で野田首相は、昔の社会保障は多くの人で高齢 者一人を支える「胴上げ型」だったが、今は数人で一人を支える「騎馬戦型」、これからは一人で一人を支える「肩車」だと言って、「公平感がある税金で《お 互いに支え合う》んです」などと、消費税増税を正当化しています。
 しかし消費税は東日本大震災の被災者にも、母子家庭にも生活保護世帯にも重くのしかかる、最悪のくらし破壊、社会保障破壊税です。一方、大企業は消費税 を商品の価格に転嫁できるため、一円も負担しない、最も不公平な税金でもあります。

正社員が当然の社会つくってこそ

 「消費税を増税しない」というマニフェストを棚にあげ、医療も介護も改悪した上に消費税増税などという「一体改悪」を許すわけにはいきません。
 「肩車」を心配するなら、働く人の三人に一人、女性や若者は二人に一人が非正規雇用という現状を変えることです。雇用は正社員が当たり前という社会をつ くり、社会保障の支え手を増やす政治に転換することが、日本の未来を切り開く道です。

いつでも元気 2012.2 No.244