大阪/医療生協 八尾クリニック 組合員とともに前進したい
医療生協八尾クリニックは、大阪東部に位置する、人口27万の八尾市にあります。隣接する東大阪市と同様、中小企業の街であり、奈良県境の信貴山山麓に広がる近郊農業の街でもあります。
八尾クリニックは2006年3月に、「医療生協かわち野」では初の医療介護複合施設「ふれあいセンター八尾」の診療部門として誕生しました。20年前 200世帯の組合員から出発した診療所建設運動は開設時には組合員数5000世帯を突破し、現在は1万1000世帯12支部へと発展し、名実ともに医生協 組合員運動に支えられ、職員と組合員との「協同」で運営される診療所になっています。
標榜科は内科、リハビリテーション科、小児科で常勤所長と非常勤医師の2診体制です。
日曜ドックは組合員の運営参加で…
八尾クリニックでは、健康づくり、健診活動、外来診療、外来リハ ビリテーション、通院困難な方への個別送迎サービスを行い、「在宅療養支援診療所」として在宅医療にとりくんでいます。また、医療介護複合施設として、介 護施設利用者の安心・安全な療養生活の保障になっています。昨年、末期がん患者のグループホームでの看取りも経験しました。
東日本大震災には、医師、介護福祉士、看護師、ケアマネジャーなど4人が現地支援に参加しました。「テレビで伝わらないのは泥の臭いよ」。参加者の声です。
クリニックの外来件数は月1171件、健診件数は月549件、在宅管理患者数は76件で、総収入に占める割合は、医療収入62パーセント(医療収入のう ち在宅収入32パーセント)、健診収入38パーセントで、健診と在宅の比率が高いのが特徴といえます。
80人前後の受診者がある月1回の日曜ドックは組合員の運営参加がなくては実施できません。職員とともに25人以上の組合員がボランティアとして立ち働 くさまは「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」という言葉を思い出します。
「あなたはひとりではありません」
在宅患者の3分の1以上は神経難病の患者です。疾患、障害と多く の困難を抱える難病患者とご家族への援助には、保健所、ケアマネジャー、訪問看護など、他事業所との連携によるチーム医療は欠かせません。一人暮らしの難 病患者には、「あなたはひとりではありません」と呼びかけます。医療が必要とされる現場に出向いて必要な医療を提供する在宅医療は、医療を受ける権利を守 るすぐれて民主主義の営みであると実感しています。
権利としての命の平等を実現していくために
今年度は、「無料低額医療制度」の取得をめざしています。この地 域で多くの困難をかかえ、必要な医療が受けられていない多くの人たちに、私たちがきっちりと向き合う努力が必要です。権利としての命の平等をこの地域で実 現していくために、組合員と知恵をしぼり前進していきたい。それが私たちのねがいです。
(八尾クリニック 診療所長 大井 通正)
「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2011年11月.No.471より」