長崎/大浦診療所 和華蘭文化の街、長崎にて
マンモス診療所として有名に
大浦町は長崎市内観光の中心地、グラバー園・大浦天主堂・孔子廟のすぐそばにあり、近年はマンション建設が相次ぎ風景も変わりつつあります。平地には現 役世代がマンションを購入して生活するようになり人口が増加しましたが、一方で坂や階段の多い高台地域に高齢者が取り残され、医療・介護難民が生まれてい ます。
そんな大浦の地に1972年5月1日、風呂屋の跡を改築して大浦診療所は誕生しました。被爆者医療、障がい者医療、労災・職業病など、長崎の地に新しい 医療の風を吹きこみ、ピーク時には1フロアわずか130坪の建物でありながら1日平均患者数が500人を超えるマンモス診療所として全国に名を知られるよ うになりました。
坂や階段の多い地域で医療・介護に奮闘
現在では近隣に医療機関も増え、1日平均患者数は230人に半減、レセプト件数も1700件を下回るようになりました。事業も外来医療以外に一般病床、 介護病床、グループホーム、デイケア・デイサービス併設、ヘルパーステーション、居宅介護支援事業、配食サービス、鍼灸と百花繚乱の時代もありましたが、 現在では医療(外来・在宅)、ショートステイ、デイサービスのシンプルな事業構成になりました。
大浦診療所の医療活動は、・慢患医療、・在宅医療、・健診活動に力点を置いています。慢患医療は患者と共有する「年間検査予定表」により健診も含めた トータルな医療管理を行っています。在宅管理数はこの2年で56件になりましたが、狭い坂や階段が多い地域にあって患家まで車で横付けできず、途中から徒 歩で向かうため、時間的余裕がないことが悩みです。
健診活動では保健師、栄養士、運動トレーナー、検査技師といったマンパワーをフルに生かして、被爆者健診を年間820件、特定健診720件、さらに協会けんぽ健診、企業健診にも積極的に取り組んでいます。
介護分野はデイサービスとショートステイに取り組んでいます。デイサービスは予防と介護が混在しながらも個別の介護計画をしっかり作成し、利用者に「楽 しかった、また来たい」と言われる事業所をめざして中期計画の実現に取り組んでいます。ショートステイはスペースの都合上、12床と小規模ですが、医療機 関併設の安心感と職員の目が十分に行き届く丁寧な対応に加え、機能訓練の充実や「お出かけ」などの行事にも積極的に取り組むことで、次回の予約を入れるこ とが困難なほど利用者やケアマネジャーから好評を得ています。
会員拡大や特定健診の普及を
現在、来院患者の友の会組織率は約85パーセントです。月に1回、会員と職員で地域訪問に取り組みながら、会員拡大や特定健診の普及に努めています。
今年は第10回共同組織活動交流集会が長崎で開催されます。和華蘭文化の街、長崎へ是非お越しください。
(大浦診療所 事務長 岡田 孝裕)
「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2009年7月号.No.443より