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ニュース・プレスリリース

Dr.小池の国会奮戦記 新型インフルエンザで問題点浮きぼりに 感染症対策を後退させた国の責任は重大

 新型インフルエンザが大きな社会問題になりました。いったん終息したとしても、秋から冬にかけて第2波がやってくる危険もあります。人類と新型インフルエンザの長いたたかいの幕が開いたといえるでしょう。

検疫官も保健所も不足

 今回の新型インフルエンザ問題は、日本の感染症対策や医療制度の問題点を浮きぼりにしました。
 水際でウイルスの侵入を食いとめる検疫官は、全国でわずか358人。私は昨年4月の国会で、舛添厚生労働大臣に、手厚い体制をとるべきだと要求していました。実は、これが初めての指摘ではありません。
 03年にSARSが大問題になったときにも、当時の坂口厚労相に増員を要求しました。このときはいったん政府も20人増やして366人にしたのですが、その後また減らしていたのです。まさに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」です。今度こそ、腰をすえた体制強化が必要です。
 さらに感染症に対する地域でのとりでが「保健所」ですが、この間の統廃合でここも弱体化しています。97年には全国で706あったのが08年には517に減少。感染を食い止める、きめ細かい対策のためにも、緊急に強化すべきです。

陰圧病床147床廃止も

 感染症の入院病床についても、4年前の1万3967から3400床近くも減らされ、1万606に。たとえば昨年12月には国立病院機構の南横浜病院が廃 止されましたが、ここには感染症の病原体を拡散させない「陰圧病床」が147床もあったのです。なんと、もったいない!
 国が率先して病床を削減するのは感染症対策への逆行です。15兆円の補正予算の中にも、医療体制強化のための予算はありません。自公政府の医療切り捨て路線では、国民の命は守れないのは明らかです。
 今回は新型インフルエンザの日本上陸の第1波でしたが、今後さらに事態の複雑化が予想されます。

事態が深刻になる前に

 人とトリの両方のウイルスに感染する豚は、新型インフルエンザウイルスのいわば「培養器」のような役割を果たしていますが、インドネシアの豚が高率で強 毒性を持つ鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を持っているという調査結果も発表されています。これが人に感染する能力を持つようになると、事態は一 変して深刻化します。
 1918年にはじまった「スペインかぜ」の世界的流行(パンデミック)では、世界で6億人が感染し、2千万~4千万人の命が奪われました。今度の新型インフルエンザは、グローバル化した世界で初めてのパンデミックとなります。
 しかし、人類は100年たって確実に進歩しているはずです。技術や知識もある。世界の英知を集めれば、この困難も乗り越えられるはず。核開発などただちにやめて、国境を越えたとりくみが必要です。
 もちろん、日本の医療体制の不備は緊急に立て直さなければ。命を守るためには、待ったなしです。

■こいけ・あきら 1987年東北大卒業後、東京民医連で小豆沢病院、代々木病院などに勤務。内科医。1996~2004年全日本民医連理事、1998年から参議院議員。

いつでも元気 2009.7 No.213

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