茨城/老人保健施設ナーシングホームかたくり 医療・福祉のネットワークづくりを
「人生楽ありゃ苦もあるさ…」でおなじみの水戸黄門こと、水戸光圀公で有名な茨城県水戸市は、東京から北東に約100キロメートルにある茨城県の 県庁所在地です。水戸という地名については、海や川の出入り口をさして「みと」または「みなと」といい、那珂川・桜川・千波湖との間に突出した台形の地形 上の特色が由来といわれています。水戸市は人口が増加してはいますが、増加の伸びは低くなってきており、また出生率低下、高齢化が進んでいます。
「安心して入れる施設を」と
社会福祉法人翠清福祉会は、茨城保健生協・城南病院の患者を中心とした「茨城高齢期を考える会」の会員たちの「安心して入れる施設を」という運動の中ででき上がり、1993(平成5)年にナーシングホームかたくりができました。
かたくりは、当時比較的珍しい社会福祉法人立の老健単独施設でした。1992年5月、水戸市、友部町、内原町、茨城町及び各社会福祉協議会より老人保健 施設を第2種福祉事業で開設してほしい旨の意見書を受領し、社会福祉法人理念を生かした施設としてスタートした経過を持っています。
現在もいわゆる無料低額事業として、年100~300万円の減免を実施しています。また食費・ホテルコストが導入された際も、法人独自で通所リハビリに 食費の減免措置を実施しました。このように、法人を設立し事業をスタートさせた地域の方々の想いがこの法人の形をつくっており、いまもそれが生き続けてい ます。
県内唯一の「老健の中の短期入所生活介護」
15年の経過の中で、施設の老朽化や不都合などを見直し、新たな事業と併せて増改築工事を一昨年から行いました。職員の討議で介護へのこだわりを設計に 生かし、今年4月にリニューアルオープンしました。今回の増改築では、一般デイサービス、認知症対応型デイサービスと併せて新規事業としてショートステイ 「かたくりステイさざんか」を開設しました。
このショートステイは、県内唯一の「老健の中の短期入所生活介護」です。短期入所生活介護は特養のショートステイの基準ですが、茨城県との協議の結果、 「老健の増床は認めない代わりに特養基準の生活介護のショートステイは認める」ということになりました。
老健施設の1階に、そこだけ特養基準のショートステイが存在していることになります。老健は入所者の医療は制限が大きく大変ですが、特養なのでこの「さ ざんか」に入所中は、受診も可能です。また基準上はリハビリ技師も不在ですが、老健の1階なので、老健施設長の診察や看護師、リハビリ職員の対応なども可 能です。
協力病院の城南病院は北東に10キロほど離れ、同法人の「ケアハウスみと」も約10キロ離れていますが、連携を重視しています。さらには当法人、保健生 協、いばらきコープ(購買生協)の3者で「いばらき医療・福祉3者協議会」をつくるなど、医療・福祉のネットワークづくりをすすめています。
(老人保健施設ナーシングホームかたくり 事務長 簾内 信行)
「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2009年2月号.No.438より