民医連院所のある風景 三重/白塚診療所 大事にしている4つのこと
風が運ぶ浜の薫り
診療所のある白塚町は、三重県の中央に位置する津市の北部にある、小さな町です。
近くには漁港があり、海岸沿いに歩くと、昔ながらのレンガ造りの煙突がある魚の加工場が立ち並びます。
春の小女子(こうなご)漁のシーズンともなると、海風が浜の薫りを運びます。
歴史ある産科から介護事業所併設の診療所に
白塚診療所は、1985年3月に、内科、小児科、産婦人科を持つ診療所としてオープンしました。
産婦人科は・母子同室・母乳保育・自然分娩・立会い分娩・を大事にしたお産に取り組み、20年間にわたり数多くのお産を手がけてきました。しかし、2005年8月、産科医の定年と後継者確保が困難なこともあり、産婦人科を閉診しました。
その後、産婦人科があった部分の施設利用を考えるにあたり、地域の組合員の声に応えるものにしようと、介護事業所の開設を計画し、半年以上かけて地域の組合員と話し合いをしました。
2007年6月から診療所の改修工事にかかりました。そして、2008年1月には、短期入所・通所介護「はまかぜ」が完成し、介護事業所併設の診療所として医療・介護事業を行っています。
4つのポイント
白塚診療所では、利用する人のことを考え、次の4つのポイントを基本に業務を行っています。
(1)利用者の生活の質を尊重する、(2)癒しの環境を整える、(3)安全・安心を高める、(4)コミュニケーションが図れる空間をつくる。
(1)については、利用する人のプライバシーを尊重し、差別感を感じないようにしています。(2)は、アットホームな雰囲気づくりや、組合員からの絵画な どを待合などに飾っています。(3)では、2007年に取得した、ISO9001の仕組みを使いながら、日常業務の改善を行っています。
「よっといで」によっといで
4つ目の「コミュニケーションが図れる空間をつくる」では、診療所の改修と同時に、敷地内に建設した、組合員会館「よっといで」(よっといで=寄ってお いでの意)を活用して、地域の組合員が集まれるようにしています。班会や学習会、会議の会場として、いつでも利用できるようにしています。
今後も4つのポイントを念頭に、地域の住民が自由に寄り合い、健康づくりができるような診療所をめざしていきたいと考えています。
(白塚診療所 事務長 瀬尾 知広)
「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2008年11月号.No.435より