Dr.小池の国会奮戦記 「温暖化ストップ」は待ったなし 経団連まかせにせず強制力もつ削減協定を
二酸化炭素などの「温室効果ガス」によって、地球全体の気温上昇が続いています。昨年、ノーベル平和賞を受賞したIPCC(国連気候変動に関する 政府間パネル)は、産業革命以降の気温上昇が2度を超えると後戻りできない危険な状態になると警告。これまでの上昇分が1・2度ですから、タイムリミット まであとわずかです。地球温暖化ストップの声は、世界中に広がっています。
新宿駅西口で(6月24日) |
EUは削減目標超過達成
温暖化の責任がほとんどない、南太平洋のツバルなどの小さな島国には、海水面の上昇による水没の危機が迫っています。
日本をはじめとする先進国は、これまで重工業化で大量の温室効果ガスを排出してきています。排出量の大幅削減、厳格な総量規制は当然です。いままでの排出 に対する歴史的な責任に加え、途上国への支援という二重の責任があるのです。
一方、急速に発展しつつある中国やインドなどの国々には、先進国の過ちを繰り返さず、地球環境を守りながら経済も発展させるという、歴史に前例のない課題の実現が求められています。
学ぶべきはEU各国の姿勢です。地球温暖化対策を「第二の産業革命」と位置づけてとりくみ、産業界と削減協定を結んだり、自然エネルギーの開発を促進するなど、すでに削減目標を大幅に超過達成しています。
220事業所だけで50%
こうしたなかで、わが日本はどうか。顔を洗って出直さなければならないようです。
まず、温室効果ガス削減の2020年までの「中期目標」。EUは30%削減するという「中期目標」を持っていますが、日本は目標すら持っていません。
さらに、最大の排出源である大企業に対する姿勢は「及び腰」です。
日本では製鉄所や火力発電所などわずか220事業所で排出量の50%を占めており、大企業のとりくみが決定的です。ところが、削減は日本経済団体連合会 (経団連)の「自主行動計画」まかせ。これでは対策など進みません。EUのように、強制力を持つ削減協定を大企業に結ばせるようにしなければなりません。
「原発」だのみでは危険
石油や石炭に変わる、風力や太陽光など「自然エネルギー」についても、日本政府の姿勢は後ろ向きです。EUが2020年までにエネルギー全体の20%をまかなうという目標を持っているのに、日本はここでも目標なし。現状はわずか2%にすぎません。
しかもエネルギーといえば、すぐに「原発」。運転の安全性にしても、放射性廃棄物の処理にしても、最悪の環境破壊をもたらす危険のある「原発」だのみでは話になりません。
大企業いいなり政治を続けていては、国民のいのちと暮らしだけでなく、かけがえのない地球環境も守れません。地球温暖化を防ぐためにも「政治の転換」を。未来のための大きな課題です。
■こいけ・あきら 1989年東北大卒業後、東京民医連で小豆沢病院、代々木病院などに勤務。内科医。1996~2004年全日本民医連理事、1998年から参議院議員。
いつでも元気 2008.8 No.202
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