奈良/特別養護老人ホームこがねの里 人はたから 長生きはたから
地域住民の運動によって…
こがねの里は、今年4月で開設して8年目を迎える全室個室の特別養護老人ホームである。事業規模は入所54人、短期入所(ショート)16人のほか、30人定員のディサービス事業・訪問介護事業・在宅支援事業等を併設している。
朝日は若草・春日の山をこがねにそめ 法人と施設名の決定によせて(詠み人知らず) |
開設に先立ち、匿名でよせられた「法人と施設名の決定によせて」の詩に詠われているように、こがねの里は地域住民の運動の力によってつくられた。
運動は、1994年7月の「住み慣れたまちに手づくりの老人ホームを」という、十数人の呼びかけから始まる。その呼びかけの半年後、1995年2月には 「奈良市西部地域に特養ホームをつくる会」が発足し、「つくる会ニュース」の発行、記念講演の開催等、運動は本格化していった。
願いと想いのこもった名前
「こがねの里」の命名は、若草・春日の山々の朝日や生駒の夕日、 秋のみのりだけでなく、足掛け7年間の建設運動に3000人をこえる方がたから寄せられた2億2000万円の建設募金への掛け言葉でもある。3000人の 募金者の中には、生活保護世帯で月づき300円を寄せられるという金額まで含まれる。2億2000万円は、まさしく地域住民の願いと想いのこもった「小 金」の集積でもあるのである。
風通しよく、働きがいと誇りのもてる職場めざして
介護・医療の総切り捨て攻撃のもとで、2006年度の介護保険改 悪は利用者負担をたいへん重くした。食費日額1380円(月額4万1400円)、居住費日額1970円(月額5万9100円)と、合わせれば月額10万 500円が入居者の基準費用である。そのような下でこがねの里は、入居者の減免申請を積極的にとりくみ、第1段階(月額3万3600円)と第2段階(月額 3万3600円)の入居者だけで40人と、利用者負担の軽減につとめている。
経営はけっして楽ではなく、職員への低賃金や過密労働を強いらざるを得ない状況である。しかし、“風通しのよい職場”づくりと、働きがいと誇りのもてる 職場づくりを、労使の共同課題として取り組んでいる。
(こがねの里 施設長 水野 洋次郎)
「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2008年6月号.No.430より
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