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ニュース・プレスリリース

Dr.小池の国会奮戦記 「医療のなかみは変わらない」のウソ 高齢者差別につながるしくみが幾重にも

 先月につづいて、「後期高齢者医療制度」についてお話しします。
 4月15日には年金からの保険料天引きが始まり、怒りの火がいっそう広がっています。福田首相の指示で突然「長寿医療制度」に名前を変えようとしましたが、かえって火に油をそそぐ結果となりました。

生存権否定する年金天引き

 私が国会で「『長寿医療制度』になると、いったいどこが変わるのか」と質問したら、舛添要一厚生労働大臣は「初心者マークを若葉マークと呼ぶようなもの」と。これほどわかりやすい「羊頭狗肉」もありません。
 年金天引きも悪評ふんぷん。「これだけ物価が上がっているのに年金額は据え置き。その上天引きか」「消えた年金は申請しなければ支払わないくせに、保険 料の取り立ては有無をいわさずやるのか」と、もっともな意見ばかりです。そもそも月1万5000円という低額の年金から、介護保険料に加えて医療保険料ま で強制徴収するのは、憲法25条の生存権の否定にほかなりません。
 政府はあわてて「医療のなかみは変わらない」と宣伝しはじめました。しかし、差別医療につながっていくしくみが幾重にもつくられています。

予防・健診から墓場まで

 まず健診。75歳を過ぎたら自治体の実施義務がなくなりました。「なぜか」という私の問いに舛添大臣は、「75歳すぎたら生活習慣の改善が困難。残存能力を生かしていただく」。この答弁にも抗議が殺到しました。
 外来では「後期高齢者診療料」というセット料金が登場。月6000円(1割負担分は600円)では、十分な検査や治療ができません。
 入院すると、75歳以上だけ「退院支援計画」をつくると病院に報酬が入るしくみに。高齢者の病院追い出しをすすめるためです。
 そして「終末期医療」。75歳以上だけ、「延命治療は控えめに」などの誓約書をつくる制度をつくりました。私がテレビでこのことを紹介したらタレントの 清水国明さんも藤吉久美子さんも「ええっ~」と絶句。関西出身の女性キャスターは「だから大阪ではこの制度のことを『はよ死ね保険』というんです」と。
 葬祭費まで75歳をすぎたら引き下げる自治体が出てきています。「ゆりかごから墓場まで」ならぬ「予防・健診から墓場まで」の差別システムです。許せません。

「戦後最悪」と怒りが

 テレビ討論でも、これほど出演者から評判の悪い制度はありません。いつも私と意見の合わない政治評論家も「戦後最悪。やめるしかない」といいきりまし た。長年社会に尽くしてこられた高齢者を粗末にあつかう制度にたいして、政治的な立場の違いをこえて、深いところからの怒りがわき起こっていると思いま す。
 ここまで追いつめてきたのも、民医連職員や、医療生協組合員・友の会員のみなさんが、全国各地で学習会や署名運動にねばり強くとりくんできた結果です。もうひとふんばり。必ず中止・撤回させましょう。


■こいけ・あきら 1989年東北大卒業後、東京民医連で小豆沢病院、代々木病院などに勤務。内科医。1996~2004年全日本民医連理事、1998年から参議院議員。

いつでも元気 2008.6 No.200