Dr.小池の国会奮戦記 長生きをみんなで喜べる社会に 姥捨て山よりひどい「後期高齢者医療制度」
「七七歳で喜寿、八八歳で米寿、そして卒寿、白寿。日本の社会は、長生きをみんなで喜ぶ社会だった。長生きすれば肩身が狭くなる。そんな社会にしていいのか!」
参議院予算委員会で、福田首相に対してこう迫ると、与党議員も「いいこというねえ」と声を上げました。
世界に例のない年齢差別
「後期高齢者医療制度」に怒りが広がっています。全国の3割近い議会から、中止や見直しを求める決議があがり、岐阜県の大垣市では「後期高齢者医療制度 に断固反対。国に対し制度の廃止を強力に要望してまいります」というチラシが新聞に折り込まれました。配ったのは自民党市議団です。
後期高齢者医療制度は、75歳という特定の年齢以上の方のみの新たな保険制度です。国民皆保険制度の国では、他に例がありません。
74歳までは「前期高齢者」、75歳過ぎたら「後期高齢者」。はっきりいってよけいなお世話です。みなさんが怒っているのも、75歳以上の方を「後期高 齢者」と呼び、75歳になったとたんに、現在加入している医療保険から全員が脱退させられ、新たな制度に囲い込まれることです。
テレビではみのもんたさんもビートたけしさんも、私の説明にそろって「姥捨て山ですね」と。私は「姥捨て山はお金を取らない。もっとひどい」と応じました。
親を扶養家族にできない!?
家族みんながいっしょに入っていた保険から、75歳になったらどうして外さなければならないのか。75歳をこえた親は、なぜ扶養家族にしてはいけないのか。
舛添要一厚生労働大臣は、私の質問に対して「後期高齢者の特性」をこう説明しました。
「第一に、治療の長期化、複数疾患への罹患が見られる。第二に、多くの高齢者に認知症が見られる。第三に、この制度の中で、いずれ避けることができない死を迎える」
こういう考え方で制度をつくれば、高齢者に対する医療は時間も手間もかかるうえ「いずれ死は避けられない」のだから、あまりお金をかけないように、とな るでしょう。社会保障制度のあり方についてはいろんな意見があります。しかしそうした問題以前に、こんなやり方は人の道に反するのではないでしょうか。
ただちに中止・撤回を
高齢者のみなさんは、あの悲惨な戦争を体験し、戦後は必死に働いて日本を復興させてきた世代です。そのみなさんから、「自分はいま国から捨てられようとしているのではないか」という声が上がるような制度は絶対に許されません。
高齢者のための制度を新たにつくるなら、「75歳まで長生きされておめでとうございます。これからは保険料も医療費も心配いりません。最高の医療を提供しましょう」。これが政治の仕事ではないでしょうか。
後期高齢者医療制度はただちに中止し、撤回せよ。この声をさらに広げていきましょう。
いつでも元気 2008.5 No.199