福岡・佐賀/神野診療所 困難は団結の力で乗り越えて
医師の定着が難しかった頃
神野診療所は1976年5月に開設され、翌年に生協法人を取得し、佐賀県医療生活協同組合として出発しました。神野診療所の開設当初は、自前での医師体 制確立が困難で、福岡県民医連からの医師支援で診療活動を行いました。1977年所長医師が就任し、1980年には12床の有床化を行いました。
医師の定着により本格的な医療活動、組織活動の開始
1982年に常勤医師1人、1988年には3人体制が確立しました。この間、病床の19床化、夜間診療の開始、在宅医療、慢性疾患医療などを展開してき ました。また、組織活動では医療生協の全国4課題(組合員拡大、班づくり、担い手づくり、出資金増資)を展開しました。
新築移転後の医療活動
1990年には現在の地へ新築移転しました。新築移転に際しては、組合員と職員の奮闘、民医連や他医療生協職員の支援で2000人の組合員世帯訪問、 1500万円の増資運動の成果を上げました。その後も医療活動の充実と組合員の要求を基礎とした組織活動に取り組んできました。その結果、患者数は飛躍的 に伸び、収入も確実に上がってきました。
しかし、理事会では実態を反映した経営報告を行わず、事実を誤認する事態が進行していきました。1995年度の通常総代会では組合員にそれまでの決算の 誤りを明らかにし、職員・組合員が一丸となって経営を再建していくことを確認しました。
創立20周年と診療所リニューアル
1998年には生協創立20周年記念として「健康まつり」に取り組み、3000人規模の参加で大成功しました。同年、デイケア開設のため神野診療所隣接 地の土地建物を買い取り、翌年オープンしました。2000年には神野診療所をリニューアルしました。
これから神野診療所が果たす役割
医療改悪の影響で当診療所でも経済的理由による受診抑制が進み、相談件数も増加しています。医療生協組織の特徴を生かし、医療・介護の枠にとらわれず、 何でも相談してもらい、必要な点はその分野の専門家へつなぐ架け橋ができればと思います。医療生協が存続し続けるためにも、医師養成の課題は避けて通れま せん。家庭医療を目指す医師の研修を受け入れ、診療所医療のよさを実感してもらい、医師の後継者づくりを行います。
今年は生協創立30周年を迎えます。今後も厳しい局面が続くことが予想されますが、職員・組合員の「団結の力」で乗り越えていきたいと思います。
(神野診療所 事務長 松尾 文)
「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2008年4月号.No.428より