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ニュース・プレスリリース

岩手/さわやかクリニック 40年の歴史に勇気と誇りを確信して

貧困・医療過疎・そして民主の灯

  さわやかクリニックの住所は岩手県岩手郡岩手町と「岩手」が3つも続きます。みなさんはどのような風景を想像されたでしょうか。
  当院の前身である工藤医院は、1961年に内科・小児科の個人医院として開業し、地域の民主医療を支えました。工藤医院の40周年記念誌には以下のような記載がされています。
  『昭和42年度・乳児死亡数24人、死亡率54.4人(千人あたり)で全国一。地元紙が町政を鋭く批判。この生命軽視の行政に町民の怒りと不満は大きく高 まった。町長選挙での争点は「乳児死亡率全国一の汚名返上」と「子どもと母親の命と健康を守る」ための課題だった。工藤医院はこの先頭に立った。「町の政 治を変えなければ町民の命と健康は守れない」のだという工藤医院の主張と行動は全町的な世論となった。…保守系は候補者を擁立できず、革新勢力が無競争当 選…乳児・妊婦の健康診断の実施、母子保健センターの設置、保育所の拡充、予防接種の無料化等の改善がなされた』。

農山村の地域医療

  岩手町は盛岡市中心部より北に40km、北緯40度に位置し、宮城県石巻湾に洋々と流れ込む北上川の源流地です。山間地を利用したキャベツ、大根、ピーマ ンなどの高原野菜栽培、ブルーベリーや葉タバコ栽培は全国1、2を競います。1970年岩手国体競技会場となったことを契機に、町技として小学生から高齢 者まで親しむホッケーの町としても知られています。
  当院は、1976年(昭和51年)民医連に加盟し、1990年盛岡医療生協に組織変更、そして2002年老朽化により新築移転(無床化)を共同組織に提 案。2年間議論を重ね2005年4月に高齢者支援ハウス(9室)、そして併設するさわやかクリニックを11月に開業しました。裏通りから表通りに、手狭で 暗い待合室から木の温もり漂う吹き抜けで明るくゆったりとした空間、「さわやかクリニック産直」を開き、足湯設置など地域のコミュニケーションあふれるク リニックに生まれ変わりました。内科・消化器・循環器・リハビリそして工藤医師の友人が繋いできた耳鼻科・眼科を絶やさずに引き継いでいます。

全職員が参加した「高齢者実態調査」

  過疎化による人口減少と、専門医の開業が相次ぐ中で、昨年は延べ人数・件数とも大きく前進することができました。上下部内視鏡、心・頸・腹部エコーなどで の全身管理と、生活習慣病、特に栄養指導、フットケア、運動療法により糖尿病の管理に力を入れ、農村地域・高齢者特有の関節の痛み治療にも取り組んでいま す。
  昨年、医師を含む全職員が取り組んだ「高齢者実態調査」では「年間2万円の年金しかなく、独身の2人の子どもの援助で何とか生活している」「親子二人暮 し、わずかな年金から子どもに生活費を回している」「玄関から入れてもらうことができなかった」など生々しい生活実態が浮き彫りにされました。
  格差問題がクローズアップされる中、医療の差別・医療への格差の持ち込みは許されません。40年の歴史に勇気と誇りを確信し、患者・共同組織と寄り添って運動をすすめます。
さわやかクリニック 事務長 菊地 宏)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2007年7月号.No.419より