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ニュース・プレスリリース

高知/すさき診療所 組合員のボランティア組織活動にささえられて

土佐の幕末ロマン

  土佐の高知の代名詞、よさこい節の一節に「坊さん、かんざし買うを見た」とあります。坊さんの純信とお馬の恋のやり取りが、はりまや橋の風物に色彩を映し ています。お馬さんを祭っている祠が、すさき診療所の北西500メートルあたりに立てられています。また、坊さんの純信に因み国道に架かる純信橋は、高知 市に向って7~8キロメートル離れたあたりでひっそりその役目を果たしています。診療所のすぐ北方に閑静な佇まいの寺、発生寺があり、この寺はその昔、須 崎での土佐勤皇党の溜まりであったとのこと、当時の住職が党員であったとのことです。高知の御城下から会合に同席した坂本龍馬が、酔狂か、虫の居所が悪 かったのか、庭先の地蔵の首をはね落としたと言われます。その地蔵が寺庭に凛と現存し、参れば物言わぬ石の地蔵を透して、幕末のロマンがあたり一面から湧 き上るような心地がします。

地域経済の栄枯盛衰

 高知県は日本全国の中でも高齢化率の高い県で、須崎市では65歳 以上の方が生活されている住居が50%。その半分は65歳以上の方のみ(独居・夫婦)が生活されている世帯となっています。すさき診療所を取り巻く地域 は、旧市街地にあたり、さらに高齢者世帯密度が高いと思われます。町角の陽だまりに集まった高齢者が数名、世間話に花を咲かせている場面によく遭遇しま す。
 全国、津々浦々で大型量販店の進出や高速道路、バイパスの整備が整うとともに商街地の移転をはじめ、新旧経済圏の栄枯盛衰を目の当たりにします。当地も 例外でなく、診療所を取り巻く昔からの商店街は、ひたすら雪解けと春の訪れを待って耐え忍んでいるようだ、とでも表現すればよいでしょうか。大型量販店は 高齢者が利用するには結構遠い場所にあります。地域の雇用拡大を図るためだとの理由等で、さらなる大型店の誘致を目指していると耳にしますが、高齢者の生 活基盤から、日用品・食料品の商店が消えてしまうことにでもなれば、どうなることでしょうか。

談話喫茶コーナーとふれあい昼食会

 すさき診療所は、デイサービスふれあいと介護の窓口(居宅支援事 業)との三事業所を併せ持ち活動しています。診療所に入ってすぐ横に組合員ボランティアの運営する談話室喫茶コーナーがあり、組合員が日替わり当番でサー ビスにあたっています。診察・治療の合間の息抜きに、利用者の情報交換の場として、親しまれています。月に2~3回、ふれあい昼食会と呼ばれている取り組 みが行われています。これも組合員ボランティア組織の活動で、手作りの食事が作られ、近辺地域をはじめ、職員の車での送迎も加え広範な参加者を迎えて行わ れていて、味も値段(300円)も大評判です。ボランティアの中には、90歳に手の届いた方も参加され、受けるも、もてなすも、順列のないホノボノとした 雰囲気が漂います。

すさき診療所 事務長 高橋 博巳)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2007年3月号.No.415より