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ニュース・プレスリリース

アスベスト交流集会問題提起

2006年5月20日
全日本民医連理事会

(はじめに)
 昨年6月下旬、クボタによるアスベストの健康被害の公表以来、全国各地で様々なアスベストの健康被害が問題となり、アスベスト関連職場の労働者のみなら ず、その家族、アスベスト関連企業の近隣住民の問題や吹きつけアスベストによる曝露の問題や建物の解体に伴う飛散アスベストの問題など、アスベスト問題は 今日健康問題として大きな問題となっています。全日本民医連理事会は昨年7月15日、声明「アスベスト被害者の掘り起こしと救済に取り組み、環境への拡散 の防止と予防措置の拡充を求めてたたかおう」を発表しました。それ以後各地でアスベスト問題への様々な取り組みが進められてきました。

 一方、国はこの2月アスベストによる被害の拡がりと深刻さ、こ の問題に対する運動の拡がりや国民の世論に押されて、「石綿による健康被害の救済に関する法律」「石綿による健康等に係わる被害の防止のための大気汚染防 止法等の一部を改正する法律」(いわゆる「アスベスト新法」)を制定しましたが、極めて不十分な内容であり、今後も被災者の補償と健康障害の予防が大きな 課題です。

 アスベスト問題は

 (1)安全対策を怠ってきた企業と、アスベストの危険性を認識していながら規制を実施してこなかった行政の責任の問題があります。また、この間アスベストの危険性について十分知らされてこなかったという労働者、国民の知る権利の問題でもあります。

 (2)アスベストによる健康被害は過去の問題ではなく、現在、そして将来の問題でもあります。早稲田大学の村山教授の発表では、今後40年での中皮腫の死亡が10万人に上るという推計がされています。

 (3)アスベスト問題は労災であるとともに環境公害問題です。

 (4)尼崎の例を見るまでもなく、アスベスト工場での曝露を受 けた労働者・近隣住民が、その後居住地を変える例も多数あります。また、職業的曝露機会についても私たちが身近に診ている様々な職種にわたり、アスベスト 問題は水俣病やイタイイタイ病などの公害と異なり一部の地域だけの問題ではなく、全国どこにでもある問題です。

 (5)従ってアスベストの健康障害については、診断能力のレベルアップや補償の問題を含めて、身近な第一線の医療機関としての取り組みが私たちには求められており、まさしく民医連の出番です。

 以上のようなアスベスト問題の性格と今日の情勢を踏まえて本集 会では、(1)アスベスト被害救済法が実施された情勢を受けて、今後の運動と対応について検討する。(2)この間の民医連のアスベスト問題に対する取り組 みを交流し、民医連の役割と課題を明確にし、どのように活動を進めるかを明らかにし、率直な悩みも出し合い、全ての県連でアスベスト問題に取り組めるよう にすることを目的として開催します。

1.アスベスト問題の歴史的経過

1)国際的にみたアスベストの健康被害とアスベスト規制の歩み
 19世紀後半にアスベストの商業的採掘と広汎な製品化が行われるようになったが、1898年にはイギリスの工場監督官により健康被害が報告されていま す。1931年イギリスでアスベスト粉塵規制法制定されましたが、1961年改正され、アスベスト曝露の上限値を2f/cm3としました。

 1930年~1940年代にはアメリカ、ドイツ、イギリスでア スベストに伴う肺がんの報告がされています。1938年ドイツでは肺がんとアスベストとの相関関係が認められ、1943年職業病として認定され、労災補償 の対象となりました。1960年代中皮腫とアスベストとの関連の報告がされ、1964年にはその因果関係が明確となっています。1972年WHO・ILO がアスベストの発ガン性を報告しています。

 1982年アメリカではアスベストのトップメーカーに対する集 団訴訟が起こり、製造物責任法で賠償を命ぜられ企業が倒産しています。クボタはこの時このアメリカ企業にすでに調査団を派遣しており、アスベストの健康被 害については知り得ていました。1984年イギリスではアスベスト認可規制を導入し、環境基準値を0.5f/cm3としました。

 1986年IARC(国際がん研究機関)は3つのアスベスト全 てが発がん物質であり、曝露の安全レベルは存在しないとしました。同年ILOの石綿条約が採択されており、EUでは相次いで青・茶石綿の禁止に乗りだし、 1989年にはWHOが青・茶石綿の使用禁止勧告が出されています。1993年ドイツではアスベストの全種類原則禁止となっています。

2)日本におけるアスベスト規制の歩み
 1960年、じん肺法が制定され、その中に、アスベストおよびアスベスト製品を扱う作業に従事する者の健康診断を実施することが盛り込まれました。 1971年特定化学物質等障害予防規則制定し、アスベストを管理すべき物質として規定しましたが、対象は石綿製品の製造作業でした。1975年特化則を改 正し、規制対象をアスベスト取り扱い作業に拡大しましたが、作業環境中のアスベスト濃度を5f/cm3としています。同年アスベストの吹きつけ作業が禁止 されました。1974年には日本でのアスベスト輸入は35万トンとなり最高を記録しました。

 1986年ILO第162号条約第172号付属勧告では青石綿作業、石綿吹きつけ作業の禁止、他の石綿作業についても可能な限り代替していくことが勧告されています。

 1987年学校での吹きつけアスベスト問題が社会問題となり、1988年には「作業環境評価基準」の制定。アスベストの作業環境基準は2f/cm3とされました。

 1992年、議員立法で「石綿製品の規制等に関する法律案」が国会に提出されましたが、アスベスト業界、連合の反対で成立しませんでした。

 WHOが青石綿、茶石綿について製造、使用を禁止したのは 1989年ですが、日本で青石綿・茶石綿を製造、使用禁止したのは1995年です。2004年1%以上アスベストを含む製品の使用禁止となり、2005年 2月石綿障害予防規則制定、7月施行。2005年4月、「作業環境評価基準」改正しアスベスト管理濃度が0.15f/cm3となりました。2005年7月 にILO第162号条約(石綿条約)が批准されています。2006年1月アスベスト全面禁止に向けた報告書が厚労省から出されています。

 以上に述べたように、EU諸国やアメリカでは1980年代にアスベスト禁止に踏み出していたにもかかわらず、また、国際的には危険性が指摘されていたにもかかわらず、これらの国に比較して日本政府のアスベスト使用禁止や規制の遅れは明らかです。

2.「アスベスト新法」と行政の動向

 2005年6月クボタ問題がマスコミで報道され、それ以降アス ベストによる健康被害の拡がりと事態の深刻さ、全ての被災者の救済を求める国民世論の高まりを受けて、2006年2月「石綿による健康被害の救済に関する 法律」「石綿による健康等に係わる被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律」(いわゆる「アスベスト新法」)が制定されました。この「ア スベスト新法」は従来の労災保険では救済されない人を一定対象にして救済対象を拡大した面は前進ですが、極めて不十分な点を持っている救済法です。

 (1)深刻なアスベスト健康被害に苦しむ患者・家族や労働者・ 国民が求めてきた完全補償とはほど遠い内容になった根幹には、国の不作為と企業の責任が明確にされていないことがあります。(2)「隙間なく救済する」と いう法の趣旨を謳っていますが、労災補償や公害健康被害補償法と比べて極めて低水準な救済内容となっていることです。(3)対象疾患も「石綿を原因とした 中皮腫および肺がん」に限定しており、労災による認定疾患は「石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水」もあげられています。労災補償の対象にならない、 自営業者、一人親方などが職業的曝露で発症した場合には労災の対象とならずこれらの人を救済の枠に入れる必要があります。また、肺がんについては労災の認 定基準では、アスベストの曝露歴があり、胸膜プラークか石綿肺のいずれかがあれば石綿による肺がんと認定されましたが、「新法」による対象は胸膜プラーク と石綿肺の両方を必要としており、ハードルが高くなっています。(4)今回の「新法」では潜伏期間が長期に及ぶアスベスト曝露を受けた者の健康管理体制に ついては触れられていません。現在離職者に交付されている石綿健康管理手帳を在職中から交付することや、石綿工場周辺の住民などハイリスク集団への健康管 理制度の創設が必要である。(5)大気汚染防止法等の改正で石綿飛散防止対策が強化されようとしていますが、アスベスト含有建材や産業廃棄物、家庭用電化 製品などのアスベスト廃棄物の処理も最終処分場の処理能力が限界に達しています。また、処理責任は所有者の責任となっており、国民にとっては多額の負担と なります。アスベスト廃棄物の処理に対しては抜本的な対策が早急に講じられる必要があります。私たちはこうした「新法」の問題点を明らかにし、改善を求め ます。

 「アスベスト新法」制定と前後して2006年には厚労省の石綿 関係の検討会、専門家会議の報告書が二つ出されています。「石綿による健康被害に係わる医学的判断に関する考え方」報告書と「石綿に関する健康管理等専門 家会議」報告書です。こうした報告書から政府・厚労省の今後の施策の方向を見ることができます。

 「石綿による健康被害に係わる医学的判断に関わる検討会」で は、まず職業曝露か環境曝露に分けて職業曝露については現行労災保険の枠内での救済とされ、環境曝露については低濃度曝露については救済しない、寄与危険 度割合という考えを導入し寄与危険度割合が0.5以上=相対リスク2倍以上を石綿が原因であるとみなすことにしています。これが「新法」での肺がんの救済 基準の胸膜プラーク+石綿肺あるいは乾燥肺重量1gあたり石綿小体5,000本以上、または石綿繊維200万本以上という基準の背景です。しかし、労災の 認定基準とは異なり、一律に寄与危険度割合で切ってしまうのは問題があります。

 今後、アスベストの曝露歴のある肺がん患者では、摘出した肺組 織での位相差顕微鏡による石綿小体の検出あるいは電子顕微鏡による石綿繊維の検出が求められるようになります。死亡された患者については剖検を行い、肺組 織の検索が必要となるということです。中皮腫では肺胞洗浄液(BAL)の基準についても検討されていますが、胸腔鏡での病理組織採取と免疫化学的な病理組 織診断の重要性が指摘されています。中皮腫についても、死亡された場合には剖検により組織を確認することが今後求められます。

 石綿による健康管理等専門家会議では、議事録を見ていくと、詳 細な職業歴聴取の重要性、肺がんの早期発見が重要であり、アスベストと喫煙の相乗作用によるリスクの増大、禁煙の重要性、アスベスト曝露のリスクが高い人 に対する胸部CT検査の有用性、石綿肺について環境曝露が考えられる例の紹介や、教員でのアスベスト飛散による中皮腫の例が報告されています。今後中皮腫 の登録制度の提起がされています。また、医療従事者の教育・研修問題の重要性も指摘されています。

 2006年2月石綿による労災認定基準の改正が発表されまし た。その内容は(1)石綿曝露労働者に発症した中皮腫については中皮腫の確定診断がなされていること、(2)肺がんについては、石綿小体または石綿繊維量 が一定以上認められたものは石綿曝露作業の従事期間が10年未満でも認めること、(3)びまん性胸膜肥厚斑についての基準を提示したことです。

3.アスベスト問題に対する学会や専門家の取り組み

 本年4月、産業衛生学会は理事会見解を発表しましたが、アスベ スト問題について「職域と一般環境の両者におよぶ健康障害という面でも、問題の重要性が大きい」とし、「今後数十年間曝露機会は続き、健康障害の発生もあ ると予想される。しかも石綿肺、中皮腫・肺がんなどの悪性腫瘍発生という重大な健康影響を発生することを考慮すると、石綿問題は社会的に極めて重要な課題 であると認識する」と石綿問題の重要性を指摘し、「科学的知見の集積はかなり行われたが、社会医学的に行政や産業界に対し、予防対策を働き掛けるところま で機能しなかった本学会活動については、反省すべきであると考えられる」としています。そして石綿障害対策への提案として行政への提案として(1)石綿を 取り扱う作業に一定期間従事した曝露者に対する健康管理手帳の交付、(2)中皮腫および肺がんの労災認定基準改定の検討、(3)事業所周囲への石綿発散可 能性の高い地域での追跡調査、(4)事業所別労災発生件数等発生状況データベースの適切な公開、(5)労働基準法適用外労働者の健康管理について、(6) 作業関連呼吸器疾患登録事業、(7)石綿代替品の安全評価機構の設立をあげています。また、学会活動として(1)石綿関連疾患の胸部エックス線写真集の整 備、(2)研修会、公開講座の開催、(3)石綿関連疾患症例の情報収集、(4)石綿問題対策策定のための非常設委員会の設置、(5)国際労働衛生への貢献 の提案も行っています。

 奈良医大車谷教授はクボタ周辺地域の中皮腫の発生について疫学調査を行い報告しています。

4.この間の民医連の取り組み

 クボタ問題が明らかとなり、アスベストによる健康被害が大きな 問題となる中で全日本民医連は2005年7月15日、理事会声明「アスベスト被害者の掘り起こしと救済にとりくみ、環境への拡散の防止と予防措置の拡充を 求めてたたかおう」を発表しました。翌7月16日「振動障害・じん肺医療推進責任者会議」での「民医連における当面の石綿対策」を提起し、民医連が相談活 動、健診等に立ち上がることが重要との意思統一を行い、8月3日アスベスト対策会議を立ち上げて取り組んできました。第36期第3回評議員会決定では、 「アスベストによる死者多発が社会問題となっています。この問題は労災であるとともに環境・公害問題です。・・・九州社医研などがいち早く取り組んだ「ア スベスト110番」のように、機敏に相談活動や検診はじめ被害者の掘り起こしと救済のために全力で取り組みましょう」と述べ、アスベスト問題への取り組み を呼びかけました。第37回総会運動方針では総会スローガンに「いま、民医連の出番!アスベスト問題はじめ、『人権のアンテナ』の感度を高め、医療・福祉 を受ける権利を守り、保健・医療・介護の事業と運動を前進させよう」とアスベスト問題を掲げ、第3章(3)「アスベスト被害者救済に全力で取り組もう」で は「この取り組みは『生活と労働の場』から疾病の原因をつかみ、健康被害を受けた人たちのいのちと健康を守ることを医療理念として掲げる民医連のまさに出 番であり、全力で取り組まねばならない課題です。全日本民医連として『治療・救済活動指針』や『マニュアルづくり』をすすめ、交流会などを積極的に開催し ます。すべての県連にアスベスト対策委員会を設置し、日常診療の力量を高めることや、健診はじめ地域訪問調査の実施、被害者救済にむけた取り組みを強めま しょう」と述べています。

 この間の各地の取り組みとしては、7月13日の福岡での電話相 談の実施、それに引き続いての患者と家族の会の立ち上げ、ドクターズネット九州での学習、石綿工場跡地の見学会、尼崎での地域での聞き取り調査と健診の実 施、アスベスト被害からいのちと健康を守る「尼崎の会」の立ち上げ、北陸での服部医師が事務局を担った「北陸アスベスト関連疾患検討会」の開催、医師会を 巻き込んでの検討会の実施などの取り組み、大阪の泉南地域での健診の取り組みや現地の視察、大阪アスベスト対策センターの結成と36名の弁護団の結成と国 家賠償請求訴訟の取り組みの動き、関東甲信越地協でのシャーカステンセミナーの開催などの取り組み、北海道での中皮腫患者の症例の検討と肺がん患者の見直 し作業の取り組みなど、アスベスト問題への取り組みは多彩な取り組みが行われてきました。また、「アスベスト110番」など、働くもののいのちと健康を守 る全国センター・地方センターと共同して取り組みを進めてきたのもこの間の取り組みの特徴です。

 この集会に向けて全日本民医連は事前アンケートを実施しました が、その結果(1)県連としての石綿対策方針を策定している県連は14県連、検討中6県、(2)県連の対策会議設置14県連、検討準備中3県連、(3)法 人で対策会議設置18法人、事業所での設置24事業所、(4)他団体との合同の機構設置17県連、準備中7県連、(5)健診実施は約2900名、(6)相 談活動では法人実施約500人、他団体との合同実施が約1400人、(7)行政や企業への申し入れ行動11県連という状況です。取り組んでいる県連は様々 な取り組みを行っているが、取り組めないでいる県連が約半数あるというのが実態です。是非、地協単位で援助し合い、取り組みを進めることが求められます。

5.今後の取り組みの方針

 全国的にはアスベスト問題への運動の方向としては、国と企業の 責任を明らかにし、被災者の補償を実現すると共にアスベスト被害を出さないようにすることが求められていると言えるでしょう。民医連としては被害者掘り起 こしなど、民医連に対する期待に応えながら、各地のアスベスト対策本部などに参加して、いのちと健康を守る全国・地方センターとの共同の取り組みをすすめ ることが運動の面では求められます。

 従来アスベスト問題の取り組みは、民医連の中では、アスベスト工場の労働者の労災問題、建設労働者の健康問題として取り組まれてきましたが、広汎な職員に問題の共有化が行われていませんでした。今後の取り組みを進めていくうえで以下の視点が重要です。

 (1)アスベストの被災者が患者、共同組織の人々や周辺に広く存在している。

 (2)アスベスト問題への取り組みは日常医療活動を「生活と労働」の視点で見直す活動。

 (3)働く人々の健康問題を担っていく人材の育成に努める。

 (4)アスベスト問題への取り組みを全国的に繰り広げる。

 (5)こうした取り組みを通じて労災認定基準や「アスベスト新法」等、アスベストの健康被害に関わる問題点を明らかにし、制度改善の運動を被災者、労働組合、専門家とともに進める。

 アスベスト問題は私たちの身近にいる患者の問題ですから、こう した患者に適切に対応できるかどうかという日常の医療活動のレベルアップの問題でもあります。まず、アスベスト関連疾患の診断から始まりますから、アスベ スト曝露の可能性について問診票を用いて職業と居住歴についての問診をすること、胸部レントゲン・胸部CTについての診断のスキルを身につけること、労災 の認定基準や「アスベスト新法」の救済基準など、まず学習が必要不可欠です。

 こうした取り組みを県連で独自にできない場合には、地協・全国の援助を受けて行いましょう。

また、地域でアスベスト問題に取り組む医療機関との連携などで取り組みを強めましょう。

 特に医師集団は県連や地協で交流・研修の場を持つことや相談しあえるネットワークを作るなどして、この問題にとりくむ医師を増やしましょう。

 アスベスト曝露が明確な患者に対しては、中皮腫はまれな疾患で すから、その多くは肺癌の予防と早期発見が課題となります。禁煙と定期的な胸部レントゲン・CTなどでのフォローが日常診療の課題となります。日常診療に おいて、チーム医療としてアスベスト問題にどの様に関わるのか、それぞれの院所の実状に応じて検討が必要です。

 なお、全日本民医連として、この問題に取り組む職員のメーリングリストをつくることを検討します。  

 今後労災の申請や「新法」での申請事例が増加すると考えられま すが、認定を受けるためには胸腔鏡による組織生検・診断の技術や、死亡された患者については死後の剖検の実施が必要となります。また、位相差顕微鏡による 石綿小体の検出などができる検査施設が要請される課題であり、検討が必要です。 

おわりに 

 今後被害の拡大が予想され、健康不安に苦しむ広汎な国民が存在 し、医療への要求はますます強まります。労災補償やアスベスト新法に救済認定申請についても医療機関の役割は大きなものがあります。被災者、国民の要求に 応え、全日本民医連第37回総会運動方針の実践の第一歩を、この交流集会から踏み出しましょう。

関連資料

1.「石綿による健康被害に係わる医学的判断に関する考え方」報告書

2.石綿に関する健康管理等専門家会議報告書

3.産業衛生学会「石綿問題に関する本学会の見解」について

4.クボタ中皮腫疫学調査(奈良医大車谷教授他)

5.尼崎の住民健診結果、大阪:阪南地域の健診結果

6.各地の取り組みについての資料

7.全国センター関係資料(アスベスト新法への見解、アスベスト110番結果)

8.全日本民医連理事会声明、事前アンケート結果