• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • 動画ロゴ
  • TikTokロゴ

ニュース・プレスリリース

Dr.小池の国会奮戦記 社会参加のための施策が「利益」か 障害者の熱いたたかいが国会をゆり動かした

 暑い夏、障害者のみなさんの「障害者『自立』支援法ハンタイ! 障害者のことを、障害者の声を無視して決めるな!」という熱い怒りの声が国会に鳴り響いています。

日々の生活の実態を

 「肢体不自由児通園施設に通う3歳の息子がいます。月9300円という所得に応じた保育料を払い、『生き ること』の意味をかみしめ、喜びと悲しみを受け止めながら、特別扱いではなく、普通に生きていくための訓練や給食、保育を受けさせていただいています。で も、定率負担が持ち込まれると3万円以上の負担になります。我が家の収入では、月のうち3分の1しか通わせてやれなくなり、幼児期に重要な訓練、療育を受 けさせてやれなくなります。障害者自立支援法案は、子どもたちの未来をも奪ってしまう法案です」
 こんな切々としたメールやファクスも毎日大量に寄せられています。日々の生活の実態を自分の言葉で語り、法案が強行されたら「生きてゆけない」という怒りに満ちています。

無罪の人から保釈金か

 政府が提出した障害者「自立」支援法は、いままで所得に応じた「応能負担」原則を守ってきた障害者の福 祉・医療サービスに、「応益負担」、つまり所得にかかわらず一律の定率負担(1割)を導入しようというものです。国の支出を減らすことだけが目的の、「自 立支援」ならぬ「自立破壊」の大悪法です。
 そもそも障害者の社会参加のための施策を「応益」すなわち「利益」として、負担を求めること自体が許せません。手話通訳を受けることが「利益」でしょう か。点字に翻訳してもらうのが「利益」でしょうか。透析に週3日通いながら生活することが「利益」だというのでしょうか。
 これらは利益でも何でもない。健常者と同じスタートラインに立つための「権利」に他なりません。本来は無料にすべきものです。東大の福島智助教授が「障 害者に定率負担を求めるのは、無罪の罪で収監された刑務所からの保釈金に等しい」といわれましたが、まさにその通りです。

命をかけたたたかいが

 当初、与党は「5月中に成立させる」と豪語していました。しかし障害者団体が立場の違いをこえて団結し、くり広げた運動によって、政府・与党のタイムスケジュールは大幅にくるい、会期末ギリギリまでもつれ込んでいます。
 とにかく迫力ある運動でした。5月12日、6600人が日比谷公園を埋めつくし、7月11日には1万1000人の怒りが国会を取り囲む。国会前でデモ行 進を迎えましたが、車いすから必死に声をふりしぼり「ハンタイ!」「決めないで!」と訴えるみなさんに、目頭が熱くなりました。
 このような命をかけたたたかいを前にすれば、いくら多数を占める与党でも、強行突破はむずかしい。あらゆる分野でこんなたたかいができれば悪政もストッ プできるのでないか。障害者のみなさんに教えていただきました。(8月3日現在)

いつでも元気 2005.9 No.167

  • 記事関連ワード