くすりの話 154 ステロイド外用薬
Q:ステロイド剤について教えて
A:ステロイド剤は、副腎(腎臓の上にある臓器)でつくられるホルモン と同じ成分を人工的につくりだし、薬にしたものです。副腎皮質ホルモンはストレスから体を守ったり、糖や脂質の調節や血圧を正常に保ったりするなど、体に とって重要な役割を持つホルモンです。ステロイド剤と言っても注射や飲み薬、外用薬(塗り薬)や吸入薬、点眼・点鼻薬といろいろありますが、ここでは外用 薬についてお話しします。
ステロイド外用薬はそのはたらきによって(1)最も強い(strongest)、(2)非常に強い(very strong)、(3)強い(strong)、(4)普通(medium)、(5)弱い(weak)の5つに分けられています。
外用薬は皮膚から吸収されることで効果を発揮しますが、塗る場所によって吸収率に違いがあります。手のひらや足などは吸収率が低く、陰部や顔などは高くなります。年齢によっても違いがあり、赤ちゃんは皮膚が薄いので、吸収率が高くなります。
Q:どんな症状の患者が利用するの?
A:アトピー性皮膚炎、湿疹、皮膚炎、じんましん、虫刺され、乾癬などの患者さんです。
ステロイド外用薬は、炎症を抑える「抗炎症作用」と、炎症の原因を根本から断つ「免疫抑制・抗アレルギー作用」の2つのはたらきを持っています。アト ピー性皮膚炎に対しては免疫抑制・抗アレルギー作用、湿疹や皮膚炎などには抗炎症作用のはたらきで治療します。
症状や塗る場所によって、「どの強さの薬を、どれだけの量をどれだけの期間使用するのか」を医師が判断し、処方します。
Q:副作用があるのでは?
A:よく、「ステロイド剤は効くけど、副作用が怖い」という印象をお持ちの方がいらっしゃいますが、正しく使えば安全です。ステロイド剤の副作用は全身的なもの(骨粗鬆症や白内障など)と局所的なものとありますが、外用薬では全身的な副作用はありません。
局所的な副作用では、「にきび」ができたり「感染症」にかかりやすくなったりするなどがありますが、使い方や使用量を守れば心配はいりません。一般的に は、チューブ状の外用薬で、おとなの人差し指の先から第一関節までの長さの量(約0.5グラム)を、両手分の広さの患部に用いると言われています。
「家族と同じような症状だから」と言って、自分の判断で薬を使わず、皮膚に気になる症状が現れたら、皮膚科を受診しましょう。ステロイド剤に限ったこと ではありませんが、必要以上に薬の副作用を怖がらず、不安があれば医師や薬剤師に相談してください。
いつでも元気 2013.3 No.257