いつでも元気

2012年11月1日

特集1 全国各地から 首相官邸を包囲せよ 広がる脱原発金曜アクション

 政府や電力会社の原発再稼働の動きを阻止するため、四月に首都圏反原発連合の呼びかけで始まった首相官邸前抗議行動。大飯原発の 再稼働が強行された後も抗議行動は続き、これに呼応するかのように脱原発「金曜アクション」は全国各地(一〇〇カ所以上)に広がっています。各地で声をあ げる民医連職員からのレポートです。

原発「やんだっちゃ!」 宮城

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仙台の中心街でアピール。途中からデモに加わる市民や、テンポのよいコールを思わず口ずさむ通行人も(宮城)

 七月頃から、宮城でも他団体が主催する金曜集会がおこなわれていました。ところが、七月最後の 金曜日(二七日)には何も計画されていないことを知り、宮城民医連事務局の有志で「だったら、私たちでやろう!」と半ば強引に会を立ち上げました。その名 も「原発やんだっちゃの会」。「やんだっちゃ」とは、仙台弁で「いやだ」という意味です。
 原発に対するそれぞれの思いを参加者に語ってもらうリレートークを企画。広報はツイッターやフェイスブック、職場内のメールなどを活用しました。人が集 まるのか不安でしたが、なんと一五〇人以上の方々が集ってくれました。
 宮城県知事は、隣の福島で原発事故が起こったというのに、女川原発の再稼働に意欲的。県庁前の公園で、知事に届けとばかりに、大きな声でシュプレヒコー ル。県庁の職員は窓の明かりを消して、そっと様子をのぞいていたようでした。集会が終わったときに、いっせいに明かりがともったのには驚きました。
 「集会に参加できない人も何らかの形で意思表示できるように」と、オリジナルバッジを製作。売り上げは集会の運営や福島支援に使います。すべての原発を廃炉にできる日まで、楽しく活動していきたいです。
(長町病院・大槻真由美)

“つぶやき”をきっかけに 岡山

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ギターも登場して笑顔でアピール(岡山)

 東京・代々木公園でおこなわれた「七・一六さようなら原発一〇万人集会」から帰って、「倉敷で も、脱原発のアクションをやりたいね」と、私が職場でつぶやいたのがきっかけでした。またたく間に広がり、フェイスブックなどで告知した七月二七日夕方に は、倉敷駅近くの公園に一五〇人もの方々が集まりました。
 その後、倉敷駅前デッキから江戸・明治時代の街なみが残る「美観地区」までの五〇〇メートルをパレードするアクションを、毎週欠かさず続けています。
 原発から遠く離れ、地震も少ない岡山では、私自身、首相官邸前で起こっているムーブメントに心熱くしながらも、周囲との温度差を感じていました。しか し、このアクションは待ち望まれていたことを実感しています。官邸や電力会社はなくても、市民に「倉敷にも原発反対の声がある」ことをアピールすることは 重要です。
 毎回、「親せきが福島にいる」「関東から避難してきました」と声をかけられたり、率先してハンドマイクを握る人(高校生が多い)があらわれたり、観光客 が「私も地元でやっているよ」と飛び入りでパレードに参加したりしてくれます。
 こだわっているのは、「再稼働反対」「脱原発」の思いだけで集まること。したがって、組織・団体などのアピールはしません。また、これまでのアクション を写真パネルにして飾ったり、シール投票を呼びかけたり、楽器や歌声、着ぐるみや手作りグッズなどで人目をひくように工夫しています。
 倉敷でも全国と心一つに、アクションを続けていきます。
(倉敷医療生協・亀山真一)

“原発銀座”でも変化 福井

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県庁前でのロングラン宣伝に署名が続々(福井)

 再稼働された大飯原発(三・四号機)を含め、全部で一四基の原発を抱える福井。「脱原発」の声がなかなかあがらなかった県民の雰囲気が、福島第一原発事故を契機に変わってきました。
 政府の再稼働の動きに反対する「いのちが大事 今なぜ再稼働? ふくいでつながろう」緊急集会(六月一七日)には、福井の集会としては過去最高の二二〇〇人を超える参加者が集いました。
 この運動の盛り上がりが、毎週金曜日の県庁前行動や関電(関西電力地域共生本部)前抗議行動、毎月一一日の「再稼働撤回求める市民行進」につながっています。毎週金曜日の行動には、二〇~七〇代の幅広い年齢層の方々が、三〇~五〇人ほど集まっています。
 福井県民医連でも、周りに声をかけて参加の輪を広げています。九月一四日に初めて参加した女性職員(23)は、「福島第一原発事故が起きてから、原発は 安全と言いきれないとわかった」と。また、男性職員(31)も、「福井で同じことが起きる前に原発をなくしたい」と話してくれました。
 三・一一以降、民医連も参加する「原発問題住民運動福井県連絡会」は、知事に対して四回、県議会議長に対して一回、おおい町長とおおい町議会議長に対して各二回、さらに関西電力や原子力研究開発機構にも申し入れをおこなってきました。
 これに対し、県は「再稼働の是非は政府の判断次第」と真摯に向きあおうとせず、回答をはぐらかし続けました。
 関西電力の対応はひどく、事前に面会の約束をとりつけて事業本部(美浜町)を訪れたにもかかわらず、正面玄関前で書面だけ受け取って追い返そうとするありさまでした。原発の安全性に対する問いかけに真剣に答えようとしない、不遜な態度に終始しました。
 すべての原発停止・廃炉が実現するまで、あきらめません。
(原発問題住民運動福井県連絡会事務局長・林広員)

青年を真ん中に 兵庫

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老若男女が関西電力神戸支店前に集う(兵庫)

 毎週金曜日、関西電力神戸支店前で「脱原発」の声をあげています。兵庫県民医連青年ジャンボ リーも加わる「原発ゼロ!核兵器ゼロ! ZEROこねっと」の呼びかけで始まった行動です。七月六日に始まったときは約一〇〇人の参加者でしたが、今では 二〇〇人ほどが集まっています。
 八月三一日は参加者からの提案をうけ、「Occupy in the blue moon」と題してとりくみました。“blue moon(ブルームーン)”とは、ひと月に二回満月が見られる珍しい現象で、これを見ると「幸せになれる、願いが叶う」という言い伝えがあります。当日は 五〇〇人以上の参加者が集まり、人間の鎖で関西電力神戸支店を包囲することができました。
 参加者を見ると、まず目立つのは若い人です。さらに、「初めて参加する」という人が毎回約半数もいて、運動の広がりを感じます。それぞれが鳴り物やアピールグッズなどで自由に表現し、とても楽しいとりくみになっています。
 先日、首都圏反原発連合が野田首相と面会しました。私たちを含めた全国各地の運動によって、首相を面会の場に引っ張り出したということに大きな意義を感 じています。私たちは、この大きな運動と成果を生かしながら、「原発ゼロ」を目指して継続的に行動していきます。
(神戸医療生協・橋本銀河)

被爆地からも声あげる 長崎

 長崎では首相官邸前行動に連帯して、七月六日から毎週金曜日、“昼休みデモ”をしています。「原発ゼロをめざす長崎連絡会」の呼びかけにこたえ、毎回七〇~一一〇人が長崎市役所前に集まり、三〇分間パレードしています。
 最初は「長崎連絡会」に加盟する民主団体からの参加が多かったのですが、続けていくなかで、組織に入っていない若い母親など、個人の参加も増えてきまし た。一般の人もパレードに加わりやすいように、宣伝カーにミッションアニー(かわいい女の子キャラクター)のポスターを貼り付けたり、音楽を鳴らしたり、 楽しい雰囲気づくりに気を配っています。
 市外の諫早市、大村市、南島原市から参加する人たちもあらわれました。さらに八月三一日には、諫早駅前でも行動開始。一般市民がツイッターで呼びかけた のが始まりで、第一回目の参加者は四〇人ほど。「ファジー(柔軟)でほのぼのとして笑顔いっぱい!」との感想が寄せられました。「長崎連絡会」では、九州 玄海原発の差し止め訴訟も支援。原発がゼロになる日まで、全国の仲間と連帯し、被爆地・長崎から「ノーモア被爆者、ノーモア原発!」の波が大きなうねりと なるようアクションを続けていきます。
(大浦診療所・赤島友美)

みんなで話しあう場に 北海道

 旭川でも首相官邸前行動に連帯して、毎週金曜日に「脱原発・原発再稼働反対集会」がおこなわれています。民医連道北ブロックの職員も参加しています。
 当初ツイッターやフェイスブックで呼びかけたのは、市民有志の集まり「旭川アゴラの会」。“アゴラ”とは、古代ギリシャ語で「広場・市場」を意味しま す。最近では、金曜日になると参加者が自主的に集まる集会に変わってきています。六月二九日、一〇人から始まった集まりは六〇人ほどに増えています。原発 に反対する人なら誰でも気軽に参加し、おしゃべりしながら、様々な問題や疑問について話しあう場となっています。
 午後六時から七時半まで夕暮れの街に、思い思いのプラカードや手書きのポスターを掲げ、小さい子どもを連れた若いお母さんや職場の仲間が参加していま す。フルートやギターを使って、音楽や歌で市民にアピールする方もいます。
 この集会に参加した安藤留美さん(えみな福祉企画)は、「集まった参加者が今まで会ったことのない方々で、市民の運動が広がっているのを感じる」と話してくれました。
(道北勤医協・真嶋隆英)

いつでも元気 2012.11 No.253

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