声明・見解

2009年9月7日

【声明2009.09.07】新型インフルエンザ流行への対応およびワクチン接種に関する緊急要望

厚生労働大臣 舛添 要一 殿

2009年9月7日
全日本民主医療機関連合会
会 長 鈴木 篤

 新型インフルエンザは8月中旬に本格的な流行入りし、年内に約2500万人の患者が発生するとの推計がされています。国内で重症例・死亡例も報告されています。9~10月の流行に備え、以下緊急に要望します。

1.新型インフルエンザワクチンの安易な輸入は行わず、国内での増産を急ぐこと。季節性インフルエンザワクチンについても十分な供給をはかること
 新型インフルエンザが世界的に流行している中で、ワクチンの生産技術を持っている日本が輸入ワクチンに頼ることは、あってはならないと考えます。また、 輸入ワクチンの日本人に対する安全性は十分に確保されているとはいえません。少なくとも数千人レベルの臨床治験が必要です。
 今後の流行に備えて、国が責任をもって国内での増産を急いでください。また、季節性インフルエンザワクチンについても十分な供給をはかってください。

2.新型インフルエンザワクチンの接種は無料で行うこと
 国内でのワクチン増産を急ぐとともに、少なくとも現在優先対象者としている医療従事者やハイリスク者などについては、全員無料で接種してください。

3.入院受け入れ体制の確保を進めること
 重症患者の入院受け入れ体制の確保のために、自治体の責任で各関係機関、全医療機関との協議を早急に進めるよう、指導を強めてください。

4.サージカルマスク、N95マスク、ゴーグル、予防着、診断キット・治療薬などの確保と、必要時、速やかに流通する手だてをとること。全国の医療機関で必要な備蓄を確保できるようにすること
 5月の流行の際には、全国的にサージカルマスク不足に陥りました。医療機関で必要な物資の流通が滞らないよう、必要な手だてを講じてください。また行政 で備蓄している抗インフルエンザウイルス薬が、必要な医療機関に速やかに行き渡るよう、行政が責任をもって対応してください。

5.地域住民へ正確な情報の周知徹底をおこなうこと
 流行の状況、病態、感染予防等について、テレビ・ラジオ・新聞等で地域住民に正確な情報を広報してください。特にハイリスク者(乳幼児、妊婦、高齢者、 基礎疾患のある者など)が、早期に適切に受診できるよう、周知徹底をお願いします。

6.新型インフルエンザの流行に伴って、診療報酬の適用を柔軟に行うこと
(1)発症後48時間以降のインフルエンザ抗原検査に対する保険適応を拡大すること
 現在の診療報酬では、インフルエンザ抗原検査は発症後48時間以内に実施した場合に限り算定する、とされています。診断キットはある程度ウイルス量が増 えないと反応せず、1回の検査では陰性でもその後の検査で陽性が判明することがよくあります。実施回数も含めて、保険適応の条件である「発症後48時間以 内」の制限緩和について次期診療報酬改定を待たずに検討してください。

(2)入院基本料算定病棟における看護要員と入院患者の比率についての変動を認めること
 新型インフルエンザに関わる診療報酬上の疑義照会に関して、貴省は「入院基本料算定病棟における看護要員と入院患者の比率について、1ヶ月を超えない期 間の1割以内の一時的な変動は認められている」としていますが、新型インフルエンザによる看護職員の病欠や待機は多数予想されます。それによって算定基準 を下回る場合は、1ヶ月に限らず柔軟に対応してください。

7.抗インフルエンザウイルス薬の使用について方針を明確にすること
 タミフルやリレンザを処方する基準について現場では混乱がみられます。WHOなどの指針にもとづいて、明確な方針を示してください。

8.「無保険者」など医療費の支払いが困難な人の保障制度を緊急に確立すること
 「無保険者」など医療費の支払いが困難な人が新型インフルエンザに感染した場合に、経済的な心配をせずに安心して受診するができるよう、医療費自己負担 分を保障する制度を緊急に確立してください。資格証明書発行世帯に緊急に健康保険証を発行して下さい。また、その旨をテレビ・ラジオ等でも広く広報して下 さい。

 (PDF版)

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