いつでも元気

2012年5月1日

元気スペシャル 3・11 復興への願いこめて

岩手 2万個の祈りの灯火genki247_01_01

 東日本大震災・福島第一原発事故から一年が経過した三月一一日、岩手県盛岡市では盛岡広域市町 村長懇談会が主催した「東日本大震災一周年行事」がおこなわれました。県公会堂で追悼式典や復興祈念イベントがおこなわれた後、盛岡城跡公園では「祈りの 灯火」と題し、二万個の灯篭(とうろう)を展示しました。
 祈りの灯火(ともしび)は実行委員会が企画し、民間有志による復興支援団体「いわてゆいっこ盛岡」が中心となりおこなわれ、死者や行方不明者をあわせた約二万人の冥福を祈ろうと企画されたものです。
 会場には学生などの多くのボランティアもつめかけ、灯篭を設置しました。開催時刻が近づくにつれ、灯篭を持ち寄った家族連れなどの参加者が次々と集まってきました。

いまだに残るがれき

genki247_01_02  参加者の盛岡市在住六〇代女性は、この日のために復興への思いを込めて一日がかりでつくった灯篭を持参したと言います。「盛岡では大きな被害はなかったけ れど、津波に襲われた沿岸部では今もまだがれきが山積みにされたままです。宮古市などには友人が住んでいたし、同じ県民として他人事とは思えません」と話 してくれました。
 さらに女性は、「被災地に積まれた一〇〇年分とも言われるがれきがある限り、復興したとは言えません」と涙をにじませました。
 二人の小さな子どもを連れて夫婦で参加した三〇代女性は、「今日は一年前を思い出してとてもつらかった。でも、子どもたちに灯篭の数だけ亡くなった方 や、いまだ行方不明の方がいるということを教えるために参加しました」と子どもたちを見つめました。

復興が終わるまでは

 参加者たちは「三月一一日は、地震や津波によって多くの人が命を落としたということを、忘れな いでほしい」と口をそろえます。被災地の現状を伝える報道が少なくなっている今日、「まだまだ復興と呼べない現状」が残されていることを知り、全国に伝え ていく必要を感じました。
文・安井圭太記者/写真・酒井猛


東京 震災復興、エネルギー政策の転換を

 東京でも、飛鳥山公園(北区)や日比谷公園(千代田区)、柏木公園(新宿区)など、都内各地で東日本大震災の追悼・復興、脱原発を求める集会が開かれました。

「大臣は何を見ていったのか」

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井の頭公園に集まった8000人の参加者。曇り空だったが、開会直前に晴れ間が

 井の頭公園(武蔵野市)で開かれた「震災復興・なくせ原発3・11行動」には、約八〇〇〇人(主催者発表)が参加しました。
 壇上から迫力の訴えをしたのは、岩手県・田老町漁協の前川昌人さんです。「震災で組合員四七人が亡くなり、漁協は七五億円の被害を受けた。これは年間利 益の一〇〇年分に相当する」。しかし復興がすすんでいない現状にふれ、「一年前と何も変わっていない。震災後、大臣が何人も来たが、何を見ていったのか。 消費税増税や年金削減よりも先にやることがある。復興が見えるようにしてほしい」と発言すると、大きな拍手がこれに応えました。

「復興進んでいないとわかった」

 集会後は「政府の責任で震災復興をはかれ」「日本から原発をなくそう」とデモ行進。小泉尚子さ ん(中野共立診療所)は「被災地の方の訴えを聞いて、一年前を思い出した。全然復興がすすんでいないことがわかった。被災地の状況はどうなっているのか、 被災者に対して何ができるのか考え、できる支援をしていきたい」と話しました。
文・多田重正記者
写真・五味明憲


福井 学習重ね、脱原発訴える

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さよなら原発の願いを胸に登壇した子どもたち

 福井県敦賀市の「さよなら原発福井県集会」には一二〇〇人が参加。一三基の原発が集中する「原発銀座」福井県での脱原発集会としては、初の規模に。福井民医連からも二二四人が参加しました。
 職員の額には「脱原発」のお面が。介護施設「しんじょういこい」の利用者たちが「私たちは集会に行けないから」と作って託してくれたものです。
 福井医療生協は昨年七月から毎月一一日、原発問題住民運動県連絡会の脱原発を訴える市民行進にも参加してきました。組合員の田村実さんは「街頭の反応は悪くない。カンパをしてくれる人もいる」と。
 福井民医連は、福島原発事故をきっかけに原発問題について学ぶことを重視してきました。職員教育のテーマにも位置づけ、原発を視察するフィールドワーク なども実施。今集会にも学習を機に参加した青年職員たちの姿がありました。
写真・文 「民医連新聞」矢作史考記者

 

「不安に寄り添う医師に初めて出会った」

井の頭公園での医療相談会から

genki247_01_05 井の頭公園の集会では、放射能汚染に関する医療相談会も開かれました。民医連や全国保険医団体連合会の医師が八件の相談に応じました。
 二人のお子さんをつれて相談に来たお母さんは、「医療相談会があることをFacebook(インターネット上の交流サイト)で知った。『もしかして…』 と思うと、子どものどんな症状も不安になる」と。症状をかかりつけ医に相談したこともありますが、「『放射能とは関係ない』と言われたために、それ以降は 何も話せなくなってしまった」と言います。
 このお母さんは「今日はよく話を聞いてもらえて、ホッとした。先生は『心配なことがあればいつでもどうぞ』と連絡先を教えてくれた。不安に寄り添ってく れる医師に初めて出会えた。ここに来て本当によかった。私以外にも不安を感じている人はたくさんいる。ぜひ、いろんな場所でこのような相談会を開いてほし い」と話してくれました。

いつでも元気 2012.5 No.247

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