いつでも元気

2012年1月1日

医療崩壊を食い止めよう! ドクターズ・デモンストレーション in東京

 医師不足や看護師不足、医療機関のあいつぐ閉鎖。「医療崩壊」とも呼ばれる現状を打開しようと、一一月二〇日、東京・日比谷公園に医師八〇〇人をはじめとする二五〇〇人の医療従事者が全国から集いました。

医療制度の“治療”を

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集会後、医療問題を訴えながら大通りを練り歩く参加者。前列右から2番目が植山医師

 この集会は全国医師ユニオンや全国保険医団体連合会、全日本民医連などが呼びかけたもの。その 名も「ドクターズ・デモンストレーション2011」。これほど多くの医師が集まった抗議行動は、一九六一年、国民皆保険制度が導入された際におこなわれて 以来、五〇年ぶりのことです。
 集会後は「震災復興と医療再生」を求めて、日比谷公園から東京駅前までデモ行進をおこないました。
 主催者の全国医師ユニオン代表・植山直人医師は「国民皆保険が危ない。貧困によって保険証がもらえず、病院にかかれない方が急増している。この医療崩壊 の原因は、非常に不健康な医療制度です。健康に必要な公的医療費という血液が削減され、新自由主義というがん細胞が全国にまんえんしています」とあいさ つ。
 「しかし、まだ日本の医療制度は脈も触れるし、呼吸もしている。ちゃんとした治療をすれば、必ず再生できると確信しています。この治療には国民の皆様の 協力が必要です。医療制度を守る大きな国民運動をつくり、新しい歴史の一歩にしましょう」と訴えました。

被災地からも

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それぞれの想いを込めたプラカードを持って参加

 集会では被災地からも、困難な医療機関の現状が語られました。
 岩手県立大船渡病院救命救急センター・山野目辰味医師は、陸前高田市で医療機関が不足しているため、「(血圧のコントロールが不十分で)仮設住宅に移っ ても、平均血圧値は一四〇後半です」と。「脳血管障害、心臓疾患などの予防措置をおこないたいのですが、市の保健師は半数が震災で亡くなっています。全国 からの支援は引き上げているので人手不足。現在私はまだ、戦場で弾が飛び交うなかを這いずりまわっているような状態です。この後また、私は戦場にかえらな ければならない。今後とも医療活動の応援・継続をお願いします」と訴えました。

継続した大きな運動を

 山口県から参加した、協立歯科診療所の篠原照恵歯科医師は「治療途中でも費用が払えず、中断してしまう患者さんが多くいる」と言います。「患者さんの窓口負担を引き下げ、治療費の心配をすることなく、安心して最後まで治療に通えるよう訴えたい」と話してくれました。
 長野・東信医療生協の奨学生、小林哲之さんは千葉県からの参加。「地元にある上田生協診療所は一九の入院ベッドを持つ診療所ですが、法人内に常勤医師が 二人しかいないので、みなさんたいへんです。このまま医師不足がすすめば、疲労による医療事故も起きかねない。なんとかしなければと思い、参加しました。 今後は地域の方々とも協力して運動をすすめたい」と思いを語りました。
 政府は「後期高齢者医療制度の廃止、OECD並みの医師数・医療費を目指す」と謳っていましたが、いずれも実現されず、二〇一〇年度の診療報酬改定では、〇・一九%の微増に終わりました。
 来年は診療報酬・介護報酬同時改定の年。すべての国民が安心して十分な医療が受けられる社会を、国の責任で実現させるために、さらに大きな運動の広がりが求められています。
文・安井圭太記者/写真・酒井 猛

いつでも元気 2012.1 No.243

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