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民医連新聞

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副作用モニター情報〈631〉 アイラミド配合懸濁性点眼液によるぜんそく、めまい

 アイラミド配合懸濁性点眼液は、アドレナリンα2受容体作動薬(ブリモジニン酒石酸塩)と炭酸脱水酵素阻害薬(ブリンゾラミド)を配合した、緑内障・高眼圧症治療剤です。
 血圧や心拍数を低下させる作用のあるβ遮断薬を配合していない点が特徴とされています。
 今回は、この薬剤を点眼後に、ぜんそくやめまいなどの症状が出現した事例が報告されましたので、紹介します。
 
症例)
 70代女性、緑内障に対してタプロス点眼液開始
5年1カ月後:視野が狭くなり、アイラミド配合懸濁性点眼液を開始
開始後1日:ぜんそく、めまい、頭痛があり、食事量も3分の1に減少
開始後3日:自己判断でアイラミド点眼液を中止し、タプロス点眼液のみ継続
中止後9日:症状は主観的に7~8割改善
中止後54日:症状はすべて治まった

* * *

 α2受容体作動薬には、房水の産生を抑えたり、ぶどう膜強膜流出路からの房水排出を促進したりすることで、眼圧を低下させる作用があります。
 一方で、α2受容体が刺激されると、交感神経の終末から放出されるノルアドレナリンが減少し、結果的にシナプス後膜のβ2受容体が遮断されたような状態となることがあります。
 アイラミド配合懸濁性点眼液の添付文書にぜんそくの副作用は記載されていませんが、今回の症例は、こうした副次的な薬理作用の結果、めまいが起きたり、気管支筋が収縮して、気管支ぜんそくを誘発させたりした可能性があると考えます。
 点眼薬といえども、吸収され、全身性の副作用が起きることがあります。また、ほとんどの薬剤は複数の薬理作用を有しているため、単一の薬理作用からは予想できない副反応が起きる可能性があることにも注意が必要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1823号 2025年2月17日号)