民医連新聞

2024年10月8日

介護に国境は不問 職場づくりで勤務サポート 東京 千寿の郷

 介護現場での人手不足のなか、外国人介護職は新たな担い手として期待がひろがっています。働きやすい職場づくりや職員育成について、東京・千寿の郷を取材しました。(長野典右記者)

 ネパール出身のチャンティヤル・サビナさんは入職4年目。「祖母の介護を行う母親の姿をみて、介護に興味を持ち、ぜひ仕事に生かしたい」と思い、留学生として来日。東京・千住介護福祉専門学校に入学しました。実習やアルバイトの経験もあり、同施設で働いています。

言葉の壁に悩む

 働いていて悩んだのは言葉の壁。尊敬語や謙譲語がある日本語の使い方が複雑であることや「難聴や言語障害の入所者とのコミュニケーションには苦労した」とふり返ります。またネパールでの働き方との違いもありました。
 しかし、「まわりの職員のサポートがあったことでずいぶん助かった」と。「なんでも遠慮なく聞いて」と会話しやすい職場にささえられてきました。入浴介助に入る時、入所者の人生をよく聴き、学ぶことが多いとも語ります。入所者のAさんは、「愛嬌があって、気が利く人。いっしょうけんめい勉強している」とサビナさんを語ります。
 サビナさんが勤務する3階の副主任は入職5年目の菊地拓さん(ケアワーカー)。同専門学校では、1つ上の先輩職員。サビナさんを1年生から見てきました。当時は口数が少なく、おとなしい性格に見えたものの、成長していく姿を感じています。「入所者への言葉の選び方で、利用者の懐に入るのがすごい」。介護記録の書き方も上達してきました。
 現在、同施設にはサビナさん以外にグアテマラから来た外国人介護職員が在籍し、法人全体では、柳原リハビリテーション病院や他の事業所などに6人が就労しています。

マニュアルにルビ

 健和会の法人介護部長の漆原沙織さん(介護福祉士)は「今は、人材確保のために外国人労働者は欠かせない。介護は血の通った人間が行うもので、国籍には関係がない」と語ります。
 同法人は、外国人介護職員教育委員会を奇数月に開催。職場や生活、困ったことを相談できるような外国人介護職員をサポートする場にもなっています。また、清原啓之事務長は、「契約書や職場のマニュアルにルビをふり、読みやすいようにしている」と働きやすい環境づくりを語ります。またグループ内に介護福祉専門学校があることも強みで、実習先などで連携しています。「卒業後指定の事業所で5年間働くと学費を免除する公的な制度もあり、活用してほしい」と言います。

更新育成の主体に

 漆原さんは、「同委員会で留学生など、これから入職してくる外国人介護職の働きやすい職場環境づくりを行い、主体となって外国人介護職の研修を企画していきたい」と語りました。
 菊地さんも「これから入ってくる職員を指導する立場になってほしい」と期待をのべました。
 サビナさんは、「多職種が多い、病院など施設とは違うところで、介護職の役割を発揮できる機会があれば」と目標を語りました。

(民医連新聞 第1815号 2024年10月7日号)

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ