民医連事業所のある風景 岐阜 みどり病院 地域にひらかれた みんなにやさしい病院 みどり病院リニューアルオープン
みどり病院は、1978年に19床の診療所として開設し、83年に53床に増床し病院化しました。89年には110床に増床し新築移転。およそ35年間、増改築を繰り返して地域の医療・介護に貢献してきました。
「施設の老朽化」「個室を増やしたい」などの理由から、2024年5月1日に2回目の新築移転をしました。
新病院建設キックオフ集会を行った20年6月は、新型コロナウイルス感染症拡大が懸念されるなか、地域や職員から「新病院への期待」とともに、「このまま建設を続けて経営的に大丈夫か」という声も寄せられ、何度も検討を繰り返しました。新病院は基本的に、門前診のすこやか診療所の外来機能(内科、精神科、透析)を統一する以外には医療機能を大きく変更する予定はありませんでした。しかし、新興感染症対応がしっかりできるようにと、感染症病室や発熱・感染症対応がしやすい外来導線を、各部門の声でつくりあげました。
岐阜市内でも上位の高齢化率となっている地域に立地しているため、認知症対応や回復期リハビリテーションへの期待も高く、医局を中心に医療活動方針を何度も議論し、MRIや骨密度測定装置などもこれまでより精度が高い機器の導入を決めました。
さらに、かかりつけ、救急患者の受け入れをスムーズにするため、個室を多く配置しましたが、これまで通り差額ベッド代はいただかず、経済的理由によって必要な医療を受ける機会が制限されないよう、無料低額診療事業を継続しています。
そして、原発反対を掲げる医療機関として、屋上には太陽光発電を設置し、環境省から認証されたZEB Ready(ゼブレディー)の建物として、少しでも地球環境に優しい施設をめざしました。太陽光からの蓄電池も設置し、災害時の緊急対応にも役立てられるよう設計しました。
21年度からは、上記のSDH、SDGs、HPHの視点が盛り込まれた新病院基本設計を、パンフレットと建設協力基金のチラシにまとめ、健康班会をはじめ、地域訪問、連携医療・介護施設へのあいさつ回り、ワクチン接種会場などで広めるとりくみをしました。新型コロナウイルス感染症のクラスターが繰り返し発生し、発熱外来対応やコロナ病床運営、ワクチン接種など、あらゆるニーズに応えながら建設運動を支えたのは、共同組織、現場を支える職責者を中心とした職員です。その原動力の一つは、全日本民医連運動方針を自部署のとりくみに置き換え職員と継続的に学習し続けたこと、法人全部課長を対象に、専務に講師依頼し2期連続実施してきた中長期経営学習と予算作成、医療・介護連携SGD(スモールグループディスカッション)です。
新病院が建設されたとしても、その後の経営が続かなければ地域の財産が失われてしまいます。医療と介護の連携で予算達成するしくみを、全役職者が認識し、職員とともに経営を守ることを通じて、地域への貢献を続けていきたいと思います。
(みどり病院 事務長 中尾 美絵)