民医連新聞

2024年6月4日

第46回総会方針学習動画『未来へのカルテ2024』  平和で公正な社会実現に向け各職場で視聴と討議を

 全日本民医連は46期総会運動方針の学習、討議のため、「ケアの視点で『非戦・人権・くらし』を高く掲げ平和で公正な社会を実現しよう」をテーマに動画「未来へのカルテ2024」(前編、後編、各約25分)を作成しました。動画はホームページやDVDから視聴できます(通達第ア―79号参照)。

前編

第1章 全日本民医連結成70年 この10年間はどういう時代だったか

 全日本民医連は2023年6月に結成70年を迎えました。第46回総会では、民医連の足跡をふり返りながら、今後のとりくみについて議論しました。
 「誰もが精神的・身体的ケアなしでは生きられない、ぜい弱性を持った存在である事実からケアの実践は始まる。実践のなかで個人の尊厳が最大限尊重され、育まれることをケア労働者はめざし、社会や政治を構想する、ケアの倫理を深め、『2つの柱』の全面実践で、私たちの事業と経営を守り、運動を前進させるのが今回の提起」と増田剛会長があいさつ。また岸本啓介事務局長は「安倍政治の10年、日本社会が大きくゆがめられ、アメリカと財界の要求を背景に、急速な軍事大国化、国民生活の苦難の拡大、社会保障の縮小、改憲が現実のテーマとなるなど、これまでの時代と違う、質的にも激変・激突の情勢」と指摘。このような政治に、多くの市民が主権者として、平和・人権・民主主義をめざして連帯・共同の運動をつくり出し、民医連も共同の輪に加わり、運動をひろげる役割を担いました。

第2章 今日の情勢をどうみるか

 平和と人権保障をめぐる世界と日本の情勢について紹介します。ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ・ガザ地区に対するイスラエルによる攻撃があい次いで発生。2021年、核兵器禁止条約が発効するなど、核兵器のない世界へのとりくみは進展。気候危機の打開に向け、COP28で「化石燃料からの脱却」が採択され、ジェンダー平等、多様性を尊重する社会をめざす運動も、世界各地で前進し、政治を動かしてきました。
 拡大する格差と貧困、戦争する国づくりによるさらなる社会保障の切りすてに対し、長野・上伊那医療生協が地元自治体や社会福祉協議会と共同したなんでも相談会を取り上げました。介護報酬は2024年度改定では1・59%のプラスでしたが、全産業平均給与との隔たりを解消する引き上げとは言えません。訪問介護はまさかのマイナス改定。兵庫・訪問看護ステーションひだまりで、介護現場での影響を取材しています。

第3章 ケアの視点で「非戦・人権・くらし」を高く掲げ、平和で公正な社会を実現しよう

 憲法、平和を守る運動では、若い世代に憲法9条の意味を知らせることが大切と、富山民医連が共同組織ととりくむ改憲に反対する署名行動を紹介しました。
 仮放免の状態にある外国人の受療権を守るために、愛知・名南病院は無料低額診療事業を活用。問題を告発しています。
 環境を守る活動では、島根・出雲医療生協の海岸清掃や新入職員の病院周辺の清掃、福島第一原発事故によるALPS処理水の海洋放出で苦しむ漁師の声と福島民医連の反対運動、各地のPFASへの対応に岐阜民医連、岡山協立病院のとりくみを紹介しました。

後編

第3章第2節 一人ひとりの尊厳を大切にする医療・介護活動の発展を

気になる患者カンファレンス

 「医療・介護活動の2つの柱」について、福井・光陽生協病院はリハビリ、在宅支援が専門の地域密着型多機能病院で、退院調整のカンファレンスを実践。島根・松江生協病院は「病院からはじまるまちづくりプロジェクト」と、困窮者層の医療アクセスに関する調査、無料低額診療事業の利用者調査を実施し調査をもとに3つの提言をまとめ、県に要望を提出。埼玉・深谷生協訪問看護ステーションでは、地域住民と医療の距離を縮めるために、地域の高齢者団体に健康促進の勉強会を行いました。栃木・宇都宮協立診療所は、毎週、水曜日の午後を休診にし、職員全員が参加して気になる患者のカンファレンスを行っています。
 山梨県共立福祉センターたからでは、聴覚障害を抱える利用者に向けて、手話や筆談を用いた介護。歯科部は『歯科酷書』第4弾を発行、「民医連歯科衛生士の基本となるもの」を紹介しています。
 かつて経験したことない「経営危機」を、全職員参加と全国組織の連帯と団結で乗り越えようと呼びかけています。

医師増員運動大きく

 神奈川・川崎医療生協は多様性に配慮し、誰もが安心して働け、受診できる環境づくりのため、性的マイノリティーの職員も安心して活用できる福利厚生制度の利用をすすめています。
 今年4月からの医師の働き方改革。民医連は、地域医療を守る立場で多くの団体と協力して医師増員の署名を呼びかけています。医師増員に向けた国民的な運動を地域のなかからつくっていきましょう。

共同組織の前進を

 能登半島地震で石川民医連と全国支援、石川県健康友の会連合会のとりくみが紹介されています。輪島診療所の職員や訪問支援者、公立病院の協同で、患者が希望した一時帰宅が実現しました。また障害者への強制不妊手術、旧優生保護法国賠訴訟に対する反省から、民医連の組織改善とし、人権と倫理センター、SOGIEコミュニティを設立しました。

(民医連新聞 第1807号 2024年6月3日号)

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