民医連事業所のある風景 埼玉 ふれあい生協病院 地域包括ケア時代に輝く病院群として、もっと地域の支えになりたい
2023年新病院開院
埼玉県は高齢化率の進行が早く、医療や介護需要は増加している中で、医師数、看護師数は全国で一番少ない県です。また、埼玉県南部医療圏でみても、人口78万人に対し400床規模の病院は当法人の埼玉協同病院を含め四つしかありません。急性期の中核病院として地域で果たす役割は大きいものがあります。一方で「住み慣れた場所で安心して暮らしたい」という願いに寄り添う在宅支援の要望の高まりの中で、2023年8月に埼玉協同病院リニューアル計画と並行して、「地域包括ケア時代に輝く病院群になる」というコンセプトのもと、ふれあい生協病院の新病院建設を実現しました。2018年に検討を開始してから約5年かかりましたが無事に開院することができました。
在宅での暮らしを支える地域包括ケアの拠点へ
ふれあい生協病院は大きく四つの機能を持っています。
一つ目は54床の地域包括ケア病棟を開設し、急性期の入院治療を終えた患者の在宅復帰に向けた準備やリハビリテーション、在宅患者の体調悪化時の迅速な入院治療、在宅で介護をしている家族の負担軽減のためのメディカルショートなどを役割としています。
二つ目は在宅医療の強化です。在宅療養支援病院として24時間365日相談できる体制をつくり、患者の緊急時の対応ができるようにしました。
三つめは外来診療です。ふれあい生協病院に隣接する埼玉協同病院の外来機能の大部分を移し、強化しました。いま国は、200床以上の病院が急性期機能を維持し高めていくためには、外来機能を縮小し入院へ集中していかないと経営的に成り立たないような政策をすすめています。ふれあい生協病院の建設に当たり399床の埼玉協同病院を二つの病院に分けたメリットを最大限に生かしました。例えば患者が紹介状を持たずに受診しても選定療養費の窓口負担が発生しなくてすむことや重症者は埼玉協同の救急部門や病棟と連携して断らずに迅速に対応できることなどです。
四つ目は健康増進センターです。診療エリアから独立してスムースに健康診断を受けられるようにしました。
ふれあい生協病院は、地域包括ケア病棟、在宅医療、外来診療、健康増進センターの四つの機能で役割を発揮します。そして隣接する法人内事業所(埼玉協同病院、老人保健施設みぬま、ケアセンターきょうどう)と一体となって、地域のさまざまなニーズに応えたいと思っています。地域包括ケア時代に輝く医療と介護の複合体として、だれもが安心して暮らせるための支えとなれるよう、職員一同力を合わせていきます。
(ふれあい生協病院 事務長 小暮里美)