副作用モニター情報〈600〉 医薬品の添加剤による副作用の疑い
医薬品における添加剤とは、有効成分以外の物質を指し、医薬品を形づくる重要な構成成分です。製剤化を容易にする、品質の安定化をはかる、有用性を高めるなどの目的で、多くの医薬品に添加されています。今回は、添加剤による副作用の可能性がある症例が報告されましたので、紹介します。
症例1)60代女性、症候性てんかん
開始14日前:レベチラセタム注「日新」開始
開始日:経口薬(レベチラセタム錠「サワイ」)へ切り替え
開始5日後:前胸部~腹部、両前腕に点状紅斑、発疹あり
開始11日後:体幹、上肢、大腿部まで丘疹、紅斑あり、レベチラセタム錠中止
中止4日後:皮疹はほぼ消退
症例2)60代男性、多発性脳出血
開始8カ月前:イーケプラドライシロップ開始
開始7カ月前:イーケプラ錠に変更
開始日:レベチラセタム錠「サワイ」に変更
開始1日後:顔面発赤あり
開始3日後:発赤悪化、顔面浮腫あり
開始4日後:下肢、前胸部、腹部に湿疹あり
開始6日後:レベチラセタム錠中止し、イーケプラ錠再開
中止1日後:顔面発赤・浮腫軽減
中止15日後:症状改善
* * *
症例1は後発の注射薬から経口薬へ、症例2は経口薬を先発品から後発医薬品へ、それぞれ変更した後に副作用症状が出現し、中止後症状が改善しています。
後発医薬品は先発品と同一の有効成分を同一量含有していますが、製剤特許の問題などにより、先発品と異なる添加剤を使用することがあり、これはメーカーによって違いがあります。厚生労働省による審査の段階で、使用する添加剤が有効性や安全性に影響しないことは確認されていますが、患者の状態や体質によっては、まれにアレルギー反応が起きることがあります。
剤型変更や銘柄変更の際には、こうした点にも注意し、副作用の早期発見に努めましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1788号 2023年8月7日)
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