民医連新聞

2023年7月4日

マイナンバーカード法改正 会長声明 保険証持てない人つくる健康保険証廃止の中止を

 全日本民医連増田剛会長は、6月19日、以下の声明を発表しました。

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 健康保険証と一体化したマイナンバーカードの利用を国民に強制するマイナンバー法等改正案が、6月2日の参議院本会議で自民党、公明党、維新の会、国民民主党の賛成により可決、成立した。
 法案の可決後も、次々とマイナンバーカードの誤交付や別人への紐付けなどの誤登録、医療機関に設置されている資格認証機器のトラブルなど、重大問題が噴出しているが、政府は24年秋の健康保険証の廃止を撤回していない。
 国会審議を通じて、障害者や認知症の人、高齢者など、社会的弱者がマイナンバーカードの手続き・取得・管理ができず、健康保険証を持てない人を制度的につくりだしかねない重大問題が明らかになった。障害者のカード取得をめぐっては、申請した際に「背後に車いすのヘッドレストが写っていたので却下された」「病気のため黒目がない人でも、黒目が写っていないので撮り直しとなった」などの事例が報告されている。
 また、現在、多くの介護施設では、入所者の健康保険証を施設で預かっているが、マイナンバーカードの代行申請は、本人の同意が難しい上に、仮にマイナンバーカードの申請手続きができたとしても、施設側でカードと暗証番号を管理することは困難である。
 申請手続きができない人がいるなかで、政府は具体的な対策を示せていない。健康保険証の廃止で、膨大な数の「保険証を持てない人」が生まれ、保険料を払っても保険診療を受けられない人が続出し、国民皆保険制度の根幹を破壊する重大問題に発展しかねない。患者・利用者や医療・介護現場も大混乱に陥ることは明白だ。
 保険証廃止に対する反対の世論が急速に拡大するなか、新聞各紙も社説などで「保険証の廃止、見直しは今からでも遅くない」など、政府の強引なやり方を批判している。共同通信社は世論調査で、延期や撤回を求める声が72・1%に上ったと報道している。
 健康保険証の廃止は、国民の生命にかかわる重大問題で、政府の冷静な判断が求められる。国民不在の強引な普及策は愚策である。
 私たちは、政府に対し、健康保険証廃止の中止を求めるとともに、国の責任で、すべての国民にこれまでどおり健康保険証を交付するよう強く求める。

(民医連新聞 第1786号 2023年7月3日)

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