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民医連事業所のある風景 東京 小豆沢歯科 多職種で連携して「口から食べることのこだわり」の実現を

 終戦の翌年1946年、東京・板橋の地に開設された東京自由病院が当法人の前身です。56年に医療法人財団健康文化会小豆沢病院が設立されました。それから30年、小豆沢歯科は86年1月に東京民医連歯科部会の方針のもと健康文化会の歯科事業所として開設されました。

バリアフリーの歯科へ

 当時は建物の2階が診療室で、狭い階段しかありませんでした。電動の車イス昇降機を購入しましたが、患者もスタッフも苦労していました。時は流れ、階段利用の限界を感じ、規模拡大のため2010年3月に現在の地にユニット12台で新築移転しました。移転までに複数の事業所を見学して参考にし、1階の診療室では車いす2台がすれ違うことができる通路などバリアフリーを重点に設計しました。現在ではストレッチャーに乗ったまま受診することも可能です。患者とスタッフの動線分離を行い、スタッフの動きがスムーズになりました。

地域の人々とともに

 診療規模はのべ患者数1700人、レセプト件数1300件、一日70人です(2022年度の月平均値)。歯科医師4人、歯科衛生士9人、歯科技工士2人、事務2人の体制です(常勤)。民医連ならではの歯科医療をめざし、一般歯科、小児歯科、訪問診療とインプラント治療などを行っています。
 特徴の一つである歯科訪問診療へのとりくみは30年以上になります。初期の訪問診療は医療保険や介護保険による評価もない時代で、道具も治療スタイルも手探りでスタートしました。現在、板橋・北・練馬区を中心に週5日行っています。常勤の歯科技工士がいる強みを生かして、義歯の即日修理に対応しています。「義歯が壊れて食べられない」と急きょ来院する人や抜歯して即日、義歯修理した人に「その日のうちに義歯が使えるようになった」と喜んでもらえています。
 同一法人の小豆沢病院や老健志村さつき苑には歯科衛生士を派遣しています。口腔ケアと同時に口腔内の不具合を発見すると主治医や担当看護師に報告し、その後歯科診察へとつないでいます。医科診療所群とも連携し、外来・病棟・施設、そして在宅へと、切れ目ない歯科医療の提供を行っています。ここに欠かせないのが「調整係」です。訪問診療のベテラン歯科衛生士2人が訪問調整係として患者の情報を収集し、各施設、ケアマネジャーと連携し、訪問日時の調整や状態の把握を行っています。患者の依頼からケアマネジャーへの報告までスムーズな流れとなりました。

連携して健康維持へ

 小豆沢歯科は歯周病安定期治療を中心に、口腔機能低下症に積極的にとりくんでいます。歯の治療だけでなく、口腔機能回復訓練や食の改善を通じて全身的な健康の維持・向上をめざします。そして、職員のスキルアップを支援し、医科・介護との連携を強め、多職種が協力することにより「口から食べることのこだわり」が安心して実現できる集団になれると考えています。
小豆沢歯科 所長 依田 知久)