にじのかけはし 第19回 住みやすい国にしていくために 文:吉田絵理子
私が自民党議員と神道政治連盟とのつながりに驚いていたちょうどその頃、安倍晋三元首相が銃撃される事件が起こり、その後に旧統一協会と自民党議員のかかわりが次々と明らかになりました。各種メディアが急に宗教と政治のつながりを報道し始めたことで、逆にこれまでその関係がいかに報道されてこなかったかが浮き彫りとなりました。そして、政治と宗教とのつながりを知らなかったのは、やはり私だけではなかったようです。国境なき記者団が発表した2022年の報道の自由度ランキングで、日本は180の国と地域のうち71位でした。
次なる疑問は、なぜこれほどまでに私は政治に無関心だったのかということでした。この答えはノルウェーの教育を知ることでわかってきました。ノルウェーでは、小学校から民主主義の大切さを教え、政党の選挙事務所を回ってアンケート調査を行ったりします。高校では学生が政党の幹部を招いて討論会を行い、本選挙の前に全国で模擬の自主管理選挙を実施して、全校の選挙結果はメディアで大々的に報道されるそうです。正直、私は選挙の投票に自信を持てたことがありません。しかし、このような学びのプロセスを経れば、政治についてディスカッションして考えを深めることができ、選挙権を得る頃には自信を持って選挙に参加できるだろうと感じました。ノルウェーは2022年の報道の自由度で1位、ジェンダーギャップ指数は3位です。
友人にこの話をしたところ、その場にいた5人中4人が子どもの頃に親から「投票先はたとえ家族でも話すものではない」と言われていました。なるほど、日本では選挙の話題がやんわりと禁じられ、学校で政党の選び方や、民主主義を具体的にどう守っていくかを学ぶ機会はないのだと、私は理解しました。みなさんは、どう感じますか?
ただ、いつからでも遅くはないのです。自分の住んでいる国をよくしたければ、今日から学び始めるのが最善の道であり、自信の有無にかかわらず、私は今後も選挙権をきちんと行使していくつもりです。そして、長年日本に住みながら、選挙権を与えられてない人たちがいることも忘れてはいけないと思っています。
よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。
(民医連新聞 第1775号 2023年1月23日)
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