【声明2022.06.21】原発避難者訴訟の最高裁判決に強く抗議する
2022年6月21日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増 田剛
6月17日最高裁判所は、東京電力福島第一原発事故によって被害を受けた住民や福島県内から避難した人たちが、国に損害賠償を求めた集団訴訟の上告審判決において、「実際の津波は想定より規模が大きく、仮に国が東京電力に必要な措置を命じていたとしても事故は避けられなかった可能性が高い」として、国の責任を認めなかった。全日本民医連はこの最高裁判決に強く抗議する。
2002年に国が公表した地震予測(長期評価)において、福島沖での津波地震が発生する可能性が指摘されていたにも関わらず、国は電気事業法に基づく規制権限を行使することなく、東電に対し必要な対策を講じるよう命じなかった。その結果、浸水対策のなされなかった福島第一原発は、地震と津波によってその安全設備が機能を喪失し、過酷事故に至ったのである。
今回の判決で、最高裁判所は、国が東電に対策を命じていれば防波堤が設置された可能性が高かったと認めたものの、実際に発生した地震と津波は想定を大きく上回るもので、たとえ国が東電に対策を命じていたとしても事故を防げなかったと結論付けた。
住民の暮らし・生業を奪い、環境に取り返しのつかない影響を与えた原発事故について、安全神話をかかげ原発を国策として推し進めた国の責任を認めない最高裁判決は到底受け入れられるものではない。原発事故の責任を国が負えないのであれば、すべての原発をただちに廃炉にすべきである。
原発事故から11年が経過した今もなお、8万人もの人びとがふるさとに帰れないでいる。帰宅困難区域となっていた町村の多くで避難指示は解除されたが、10年以上放置された土地で、以前の生活を取り戻すことは簡単ではない。このような状態であるにも関わらず、国は原発事故被害者を切り捨てるかのように、医療・介護費の減免を打ち切ろうとし、また放射能汚染水の海洋放出を強行しようとしている。
全日本民医連は、原発事故被害者に寄り添い、引き続き幅広い人びとと連帯し、国の責任を追及する決意である。
以上
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