民医連新聞

2014年1月20日

秘密保護法「廃止」あきらめない 仁比聡平 参院議員(共産)に聞く

 国民の反対を押し切り、年末に特定秘密保護法が成立しました。採決が強行された参院本会議で、ただ一人反対討論に立った仁比(にひ)聡平参院議員(共産党)に、同法の問題点や今後のたたかい方について聞きました。(新井健治記者)

 秘密保護法審議中の昨年一二月上旬、国会周辺には連日、多くの国民が抗議に押し寄せまし た。反対のコールや打ち鳴らされるドラムの音は、議事堂の中まで響きました。参議院で秘密保護法への反対討論をしたのは私一人でしたが、孤立感は全くな かった。国民の怒りを堂々と代弁している気概がありました。
 国会の外の国民の声は法案に反対した議員にとって最大の励ましになるとともに、安倍政権を大きく揺さぶりました。ですから、法案修正で日本維新の会やみ んなの党を取り込もうとしたり、連夜の本会議強行など異常な議会運営のすえ採決を強行したわけです。追い詰められているのは、安倍政権です。

広く国民を処罰する

 「私は普通の市民だから軍事機密なんて関係ない」「秘密を漏らしていけないのは、公務員じゃないの?」という疑問もあるかもしれません。
 弁護士として皆さんに知っていただきたいのは、この法律の最大の危険性は「普通の国民」が処罰されること。事前に特定秘密の内容は明らかにされません。 何が秘密かも分からないまま、情報に近づいたとたんに逮捕される可能性があります。密室での取り調べや、職場など関係先への捜索もあり得ます。
 こうした法律の存在そのものが威嚇になり、自由にものを言えない社会になる。秘密保護法は「戦争をする国づくり」への突破口です。戦争を阻止する最大の 力は国民の平和を求める声です。秘密保護法はその声を挙げさせない、あるいは声を挙げる国民を孤立させる狙いがあります。
 安倍政権は秘密保護法を成立させた直後に「国家安全保障戦略」を決定し、集団的自衛権行使や武器輸出三原則撤廃を掲げています。米軍と一体の軍事行動に 必要なオスプレイや無人偵察機も導入します。秘密保護法は米軍とともに戦うため、軍事機密が漏れないよう、米国の強い圧力でできたのです。
 秘密保護法成立の直前には、戦時体制の司令塔となる「国家安全保障会議」設置法案が可決されました。国家安全保障会議は、わずか四人の大臣に権力を集中 する組織です。戦争は権力を少数者に集中しないとできません。権力の集中は必然的に秘密を伴います。

国会に廃止法案を提出

 法律はできましたが、あきらめる必要はありません。共産党は今月二四日に開会する通常国会 に廃止法案を提出します。国会のわずかな審議時間でも、秘密保護法が知る権利や表現の自由を侵害する憲法違反の法律であることが明らかになりました。国民 の声を無視した蛮行への怒りが、全国で燎原(りょうげん)の火のごとく広がっています。
 秘密保護法の強行で安倍政権の支持率は急落。既に北海道、福島、沖縄では不支持率が支持率を上回っています。TPP、原発、米軍基地と、いずれも矛盾が 集中した地域で、全国民に先んじて政権の本質を見抜いているわけです。
 希代の悪法を廃止するためには、さらに反対の世論を高めることが必要です。皆さんに訴えたいのは「このまま戦争ができる国づくりを許していいのか」、と いうことです。戦時下では真っ先に社会的弱者が犠牲になります。消費税増税や医療と介護の改悪で、庶民から吸い上げたお金を軍事のために使う。戦争をする 国とはそういうことです。
 国家権力が基本的人権を奪おうという時に、黙って見ていられませんね。民医連の諸先輩方は戦前、弾圧を受けながらも医療人としてのヒューマニズムを持ち 続け、貧しい者のための活動をやめませんでした。人が人として尊重される社会でこそ、皆さんも専門職として本来の生きがいを発揮できると思います。
 民医連は「国民に広がる運動の架け橋になろう」と呼びかけていますね。昨年は各地で弁護士会も“かすがい”になって、秘密保護法反対の声を結集しまし た。TPPや原発、消費税、米軍基地などさまざまな課題でたたかってきた人たちも「秘密保護法はおかしい」と声を挙げています。こうした分野の架け橋に なってきた民医連が、今度は秘密保護法でさまざまな人を結びつけてほしい。地域から「廃止」の一点で運動を盛り上げましょう。

(民医連新聞 第1564号 2014年1月20日)

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