民医連新聞

2014年1月6日

国境超えた医療人が手をつないで 韓国 平和と医療運動交流の旅

 実質四日間の韓国の旅は、日本の侵略戦争の歴史から何を学ぶか、そして安倍内閣の暴走の下、どう平和といのちを守っていくか考えるツアーとなりました。

分断された歴史を直視する

 半島を南北に分断した朝鮮戦争の停戦から六〇年。オデュ山統一展望台にのぼると、イムジン河の対岸に北朝鮮が見えます。
 案内ボランティアのキム・ソジョンさんの「朝鮮戦争は何百万人もの犠牲者を出し、生存者にも深い心の傷を残した。ある意味、日本の植民地支配より、この 戦争の傷は深いかもしれない」という言葉に、日本人が戦争は終わったと信じた「戦後」、なぜ敗戦国日本でなく半島が分断され、多くの犠牲を強いられたの か? 同じ時代に日本は朝鮮戦争特需で経済発展を遂げ、憲法九条のもと戦争をせずにきたこと、その事実に思い至らなかった自分を恥じました。
 この歴史に目をそむけては、韓国との真の交流はできません。

ストライキに飛び入り?!

 ちょうどソウル大学病院では、付き添い家族用のホテル経営への過剰投資、収益重視で医療資 材の質を落としたり患者への負担増を行う経営側に、適切な診察時間確保、医師の成果報酬廃止、小児の入院給食直営化、人員増と労働条件改善などを求め、約 二〇〇人の職員が座り込んでストライキ中でした。私たちも飛び入り参加し、社会保障費削減がすすめられる中、差額ベッド料を取らずたたかっていることを報 告し、ともに患者を守ろう、とスピーチ。「利潤よりいのちを」「医療の公共性確保を」と、大いに共感しあいました。

医療を守る国際連帯とは

 背景には韓米FTAもあります。保健医療団体連合のウ・ソッキュン医師とビョン・ヘジンさ んは、FTAについて、わかりやすさを重視して運動。「シッコ」の上映会を行うなどしながら「医療は商品でない」「国民健康保険を破壊する韓米FTA反 対」と医療者が宣言し、国民の支持を得たそうです。
 しかし、協定は締結されれば、医療資材や医療機器の高騰、医薬品へのアクセスを困難にするなど、国民の受療権を奪います。
 ウ医師から「TPPは一国だけではたたかえない、反TPPで運動しているカナダやメキシコなどの医療者と国際連帯しよう」と提起が。国際シンポジウムを 実現し、各国のたたかいに学び、日本でも医療を守る運動を強める展望が持てました。

(山本淑子、全日本民医連事務局次長)


 日程…10月26~30日
参加人数…13人
コース…オデュ山統一展望台、西大門刑務所、景福宮、ナヌムの家、グリーン病院、日本大使館前の水曜集会、民医連と交流のある保健医療団体連合との懇談など

 (民医連新聞 第1563号 2014年1月6日)

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