民医連新聞

2014年1月6日

米軍基地のない日本は可能だ! ―関東学院大・林博史教授に聞く

 一昨年、オール沖縄が示した「反対」の意を踏みにじり、強行された米軍のオスプレイ配備。その後、危険な飛行訓練は全国に広がっ ています。米軍基地周辺では、事故や犯罪が多発。日本にあるのは「当たり前」のようになっている米軍基地は、本当に「当たり前」? 世界の米軍基地に詳し い関東学院大学の林博史教授に聞きました。(丸山聡子記者)

 冷戦終結以降の一九九〇年代、世界各地の米軍基地は、面積・人員ともに大きく減っています(表1)。そんな中、日本は米軍基地の面積も人員も維持。米軍人が一万人以上駐留しているのはドイツ、日本、韓国のみ。基地として使わせている土地の資産価値は日本がトップです(表2)
 駐留形態も多様化。オーストラリアは海兵隊を受け入れても基地は造らせず、韓国やケニアは海兵隊施設は置いても兵士はゼロ。海兵隊の戦闘部隊を受け入れ、空母の母港もあるのは日本だけです。

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日本政府の姿勢がカギ

 米軍基地が撤退・縮小しているのは、軍事行動の拠点となる米軍基地に対し地域住民の反対運動が広がっているからです。韓国は二〇〇五年、誤爆や騒音の被害を受けた住民が反対運動の末、メヒャンリ米射爆場を閉鎖させました。
 フィリピンやパナマ、エクアドルなど、基地受け入れ国の政権交代や民衆の運動によって、米軍基地が撤退・縮小しているケースも多々あります。その点で 「普天間基地の海外・県外移設」を公約に、政権交代を実現した民主党の鳩山政権時(二〇〇九年)はチャンスでした。日本政府が「海外移設」を主張すれば、 実現の可能性が高かったのです。
 アメリカは基地受け入れ国で住民の反発や要求があれば、撤退の用意があります。にもかかわらず日本政府は主張しません。日本中に米軍基地があり、オスプ レイの飛行訓練が各地で行われている責任は、日本政府にもあります。それを自覚し、世界の流れに学び、米軍基地の撤去を日本政府に求める運動が必要です。

アメリカの出撃拠点となる

 アメリカ政府は、二〇〇一年の同時多発テロ以降、軍の戦略を「対テロ戦争」に転換し、中東 への軍事介入を焦点にしてきました。その中継拠点が日本です。通常、海外駐留はアメリカには費用負担が重いものですが、日本なら思いやり予算(毎年約二〇 〇〇億円)などで費用を援助してくれることも、駐留し続ける要因です。
 アメリカが軍事行動を起こせば、相手国の反撃は出撃拠点である日本にも向かうでしょう。それは日本が戦場になるということです。
 「米軍は、中国や北朝鮮の脅威から守ってくれている」という人もいます。しかし、他国への侵略や軍事介入の拠点となり、人々を傷つけ、殺すことで自らの安全を守ることが許されるでしょうか。

 (民医連新聞 第1563号 2014年1月6日)

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