声明・見解

2022年3月9日

【会長声明2022.03.08】大阪高裁判決を不服とし最高裁に上告した政府に断固抗議する

2022年3月8日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 3月7日、政府は、旧優生保護法下での強制不妊手術について、同法の規定の違憲性を認め、初めて国に損害賠償を命じた大阪高裁判決を不服として最高裁に上告した。
 大阪高裁判決は、全国9地裁・支部で行われた訴訟で最初の控訴審判決だった。国に対する損害賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」について、「著しく正義・公平の理念に反する」ことを理由に機械的な適用をせず、原審の大阪地裁判決を変更し、国に賠償を命じる画期的な判決であり、強制不妊手術によって長年にわたって苦しめられてきた原告・被害者の願いに寄り添うものであった。
 大阪高裁判決に対する上告は、旧優生保護法が生み出した非人道的かつ重大な人権侵害に対する反省もなく、原告の願いに真摯に向き合おうとしない政府の姿勢を示すものであり、国のさらなる過ちを重ねるものに他ならない。政府は、上告した理由として、大阪高裁判決以外の6つの地裁判決では国の賠償責任を認めておらず、判断が割れたことから最高裁の統一判断を仰ぐ必要がある、他の訴訟も判決に影響を及ぼすと説明しているが、このことは、大阪高等裁判所の判決を受けて、同日官房長官が述べた原告・被害者らに対する謝罪がまったくの詭弁であり、政府として除斥期間の適用を容認し、補償・救済を求める原告・被害者の願いを真っ向から切り捨てるものと言わざるを得ない。
 上告により、各地の訴訟も最高裁まで争われる可能性がある。原告・被害者は高齢化しており、解決を先伸ばしにすることは絶対に許されない。上告を即刻取り下げることを強く求めるとともに、大阪高裁判決の内容をふまえ、現行一時金支給法の抜本的な改善等、早急に被害者救済に向けた施策に着手することを要請する。
 私たち民医連は、各地で闘われている国賠訴訟を支援し、被害を受けた方々への補償の実現、尊厳の回復に向けて引き続き取り組んでいく所存である。

以 上

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