民医連新聞

2022年3月8日

相談室日誌 連載514 安心して利用できる制度に 負担金減免、徴収猶予の活用(兵庫)

 Aさんは70代の男性です。当院の無料低額診療事業を利用しています。更新面談の際、昨年9月に仕事を辞め、「毎月8000円の薬代の支払いが大変」と話がありました。
 Aさんは糖尿病とうつ病で毎月当院へ通院し、腰痛症で当院以外の整形外科のクリニックにも通院。体力の低下で昨年9月に退職し、現在Aさんの収入は月10万円の年金のみ。1人暮らしで毎月の生活はギリギリです。預貯金もなくなり、生活保護を申請しましたが、葬儀代に残している本人名義の生命保険があり申請できませんでした。生活保護課からは生命保険の解約や名義変更の提案もありましたが、Aさんが亡くなった際、娘に金銭的な負担がかからないように解約せず、生活保護を申請しない選択をしました。昨年に比べ収入が激減しているため、国民健康保険一部負担金減免および徴収猶予(国保44条)の申請をしました。
 申請手続きをして2週間後、認定基準に合致しているため、全額免除の認定がおりました。Aさんは「無料低額診療事業で医療費は免除になり助かっていたが、他の医療機関や薬局でも窓口負担が免除になり、医療費の心配がなくなって安心して病院にかかれる」と喜んでいました。しかし、一部負担金減免および徴収猶予の制度は原則3カ月、最大でも6カ月しか利用することができません。免除の期間が終了すると、整形外科クリニックの医療費や薬局の薬代はかかりますが、当院の無料低額診療事業を申請するのか、生命保険を解約して生活保護申請をするのか、考えなければなりません。
 経済的に厳しい人であっても安心して医療にかかれるよう、長期的に利用できる制度にするべきだと思います。また減額・免除の認定基準は厳しく、ほとんど申請する人がいないのも現状です。そのため国民健康保険課の職員でも、この制度を知らない人がいます。
 使える制度にするためにも対象者がいれば積極的に申請していくことが大切だと思います。

(民医連新聞 第1755号 2022年3月7日)

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