民医連事業所のある風景 東京/羽村相互診療所 西多摩地域の健康を守る拠点として
羽村市は東京多摩地域西部に位置する、人口約5万5千人の東京で最も人口が少なく、面積は全国で7番目に小さい市です。1991年に市制施行し、羽村町から羽村市となりました。観光地としては、玉川上水の取水堰として江戸時代から人々の生活を支えた羽村取水堰や、アットホームな雰囲気の羽村市動物公園が人気です。
羽村相互診療所は、東京の立川市に法人本部がある社会医療法人社団・健生会に属しています。診療所の開設は1993年の4月です。「東京・西多摩地域に民医連・健生会の診療所を作りたい」という共同組織や地域の人たちの情熱と資金面での大きな支えで、東京民医連では初めての一般診療と透析医療の双方を行う診療所として、羽村市にオープンしました。開設当初は所長1人の医師体制で、朝から夜まで外来と20台の透析の両方を担当するという大変な業務でした。
新築移転により透析ベッドを増床
20年間、当初の土地で医療活動を行っていましたが、施設の老朽化がすすんだため、2014年3月に羽村市内の現在の地に新築移転しました。2階に透析施設があり、透析ベッドを20床から40床に増やしたのが特徴の一つです。最新の機械とシステムを取り入れており、より快適な透析治療を提供していけるようになりました。透析患者管理数は100人ほどです。現在は新型コロナウイルス対策として発熱者用の透析ベッドも設置し、院内感染対策を行っています。毎日の透析患者の通院送迎を行う運転手が常時9人在籍しています。
外来診療では10人以上の医師がそれぞれの専門分野担当で診療をおこない、検査機器が充実しているのも特徴の一つです。外来患者数は月平均で約900人です。一般検査以外に腹部、頚動脈、心臓、血管エコーやCT、骨密度、血圧脈波など、診療所規模では最大の程度に装備しています。慢性疾患管理の質向上に努め、市の健診や企業健診なども多数受け入れています。
訪問診療で在宅生活をサポート
訪問診療も特徴の一つです。5人の医師が曜日ごとに定期的に月平均80人以上の患者宅を訪問し診療を行っています。地域も羽村市以外に青梅市、瑞穂町、福生市、あきる野市、日の出町など西多摩地域の広域にわたっています。深夜帯や休日もスタッフが専用の電話を携帯し、いつでも連絡できる体制にしています。近隣の医療機関や訪問看護・介護事業所と日々連携を取り、患者の在宅生活をサポートしています。診療所の建物内に同じ法人のケアプランセンターと訪問看護ステーションがあり、困ったことがあった際はすぐに相談できるのも強みのひとつです。
1993年の開設当初は10人程だったスタッフの数は、現在では常勤と非常勤を合わせて60人以上が在籍するという、大変規模の大きい診療所になっています。コロナ禍以前は、共同組織・三多摩健康友の会や地域の団体の人たちとスタッフが一緒に、健康チェックなどを地域で行っていましたが、現在は残念ながらなかなかできていません。コロナの感染状況も見ながら今後は工夫をして、西多摩地域の健康を守る拠点として、医療活動を続けていきたいと思います。
(羽村相互診療所 事務長 後藤敏章)