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声明・見解

声明・見解

【声明2021.03.02】「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について」及び「『生活保護問答集について』の一部改正について」に対する緊急声明

2021年3月2日

厚生労働大臣 田村憲久様

全日本民主医療機関連合会
会 長   増田 剛

 厚生労働省は、申請をためらわせている扶養照会への批判を受け、2021年2月26日「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について」及び「『生活保護問答集について』の一部改正について」を自治体に通知した。
 今般の厚生労働省通知は「扶養義務履行が期待できない者」の判断基準が例示されたにすぎず、極めて例外的な場合以外は直接照会する枠組みが維持されていることは重大である。また、2021年1月28日、参議院予算委員会における「扶養照会は義務ではない」という貴職の答弁内容とも相反するものである。
 当連合会が独自で行った「コロナ禍を起因とする困窮事例調査」では、生活保護が必要な人が申請をためらう事例が多数報告されている。
 また、「つくろい東京ファンド」が行ったアンケート調査によると、生活保護を利用していない理由として「家族に知られるのが嫌だから」との回答が34.4%を占めている。こうした人たちが、申請をためらっているのは、身内に知られることによって関係が壊れることを恐れているからである。
 当該通知では、生活困窮者が申請をためらっている実態に対して、改善するものとなっておらず、的外れと言わざるを得ない。

 生活保護受給は、民法上の扶養義務より優先する。この点を明確にし、以下要請する。
①申請者の尊厳を守ることを第一に据えた対応こそ必要であり、本来的に扶養を求めるかどうかは要扶養者の自己決定によるべきものである。従って、扶養照会は申請者の承諾がある場合に限定すること。
②「水際作戦」をはじめとした、生活保護行政をめぐる違法行為が繰り返し社会問題となっている。こうした経緯を踏まえ、「扶養照会を行わないこと」を原則とすること。

 全日本民医連は、コロナ禍等で苦しむ国民のいのちを守るため、生活保護を躊躇せずに申請ができるよう、申請者の承諾のない扶養照会を直ちに止めさせることを強く求めるものである。

以上

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