副作用モニター情報〈546〉 リピディルとアトルバスタチンによる肝機能障害
脂質異常症治療薬であるスタチン系薬剤(プラバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンなど)とフィブラート系薬剤(リピディル、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ペマフィブラートなど)について、腎機能の臨床検査値に異常が認められる患者に対する併用は、2018( )年10月に添付文書上の「原則禁忌」が削除されました。欧米では原則禁忌の制限なく併用されていること、国内でも併用治療のニーズがあることなどが主な理由です。しかし、併用による副作用のリスクが高いことに変わりはありません。
脂質異常症治療薬の副作用というと、横紋筋融解症などの筋毒性に焦点が当てられることが多いですが、今回は薬剤性肝障害が疑われる症例が報告されましたので、紹介します。
症例)60代男性、TG高値のためリピディル錠80mg開始。
併用薬:バイアスピリン錠、アトルバスタチン錠、アジルバ錠、メコバラミン錠、イコサペント酸エチルカプセル
投与前:AST28U/L、ALT21U/L
投与開始40日目:AST126U/L、ALT156U/L、倦怠感、食欲低下あり、リピディル中止
中止後6日目:AST27U/L、ALT44U/L
中止後16日目:AST24U/L、ALT23U/L
リピディルによるAST、ALT、γ-GTPの上昇は、その多く(95%以上)が投与開始後12週以内に発現するとの報告があり、併用する場合もしばらく頻回な肝機能のチェックが必要と考えます。脂質異常症治療薬の副作用については、当モニターの「薬の副作用から見える医療課題」の第18項でも取り上げていますので、参考にしてください。
(民医連新聞 第1727号 2020年12月7日・21日合併号)
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