声明・見解

2006年2月10日

【声明2006.02.10】国民に新たな負担をしいる医療制度「改革」法案の国会上程に強く抗議し、安全・安心の医療を願う国民と共同して医療改悪反対の運動をすすめる

2006年2月10日
  全日本民主医療機関連合会
  会長   肥田  泰

 小泉内閣は、高齢者の医療費負担など患者・国民に負担をしいる医療制度「改革」法案を2月10日に閣議決定し、国会に上程しました。私たちは、安全・安心の医療を求める国民の願いに逆行する医療制度「改革」法案の閣議決定に抗議し、廃案にすることを強く求めるものです。

 2月9日には、全国各地から難病患者さんや高齢者、医療従事者など1万4000人がさいたまスーパーアリーナに集い「ゆるすな医療改悪・大増税2.9国 民集会」が開催され、高齢者をはじめ患者・国民への負担増・医療改悪に反対する怒りの声が巻き起こりました。
 現在でも高い医療費負担の中で高齢者はじめ多くの患者さんは、生活費を削って何とか医療費を工面していますが、これ以上の負担増は「必要な医療が受けら れない」深刻な事態をもたらします。

 この国民の声を踏みにじり、医療費「適正化」を柱にする医療制度「改革」法案は、1)所得の高い高齢者の窓口負担を2割から3割に引き上げる、2)長期 療養入院する高齢者の食費・居住費を全額患者負担にする、3)高額療養費給付限度額を10%以上引き上げる、4)、全ての高齢者に新たな保険料負担を押し つける新高齢者医療制度を創設する、5)入院日数の短縮など都道府県ごとに適正化計画を策定させて医療費抑制の競争をさせる、6)療養病床38万床を15 万床に削減する、など国民全体に大きな負担を押しつける内容です。しかも、法案に先行した06年診療報酬改定では3.2%もの引き下げを行い、医療機関の 経営を直撃し、安全・安心の医療提供を困難にする事態になっています。
 特に高齢者医療制度の創設では、財源を1割が高齢者の保険料、5割が国庫負担ですが、残り4割は現役世代の支援保険料として保険料負担をもたらす内容で あり、高齢者とともに現役世代にも大きな負担を押しつけ、団塊の世代が高齢化していく時期に合わせて、国民負担をさらに増やしていくものです。

 こうした医療制度「改革」法案は、国民皆保険制度を根幹から切り崩す内容です。政府や自公与党は、「財政危機の中でも持続可能な制度に、国民皆保険制度 を守るため」と主張しています。しかし、この間の医療保険への国庫負担削減が、患者負担の引き上げや払いたくても払えない高すぎる国保料の主要な原因で す。法案のねらいは、世界的に見ても少ない国庫負担や企業の負担をさらに減らすものであり、「やせた身体をダイエットさせる」危険なものです。これは「改 革」ではなく、医療を受ける権利を全ての国民に平等に保障した憲法25条に明確に違反するものです。
 しかも、世界第2位の経済力をもつ我が国には、医療を改善・充実する財源は現状でも十分あります。一般会計の3倍にもなる特別会計に示されるムダな公共 事業など税金のムダ使いをやめさせること、大企業に応分の社会的責任を果たさせること、高すぎる薬価や医療機器のムダを改善することなどで、誰もが安心で きる医療保険制度が可能なのです。

 私たちは、国民のいのちと健康に関わる医療分野に弱肉強食の格差を広げる、今回の医療制度「改革」法案に断固反対します。保険証1枚で必要な医療が誰で 受けられるよう、公的保険の改善・充実を求めるものです。そして、この通常国会での徹底した審議を求め、広範な国民世論と共同して全国各地で医療「改革」 法案の廃案をめざす運動を一層広げる決意です。

以上

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